拒食症

出典: Jinkawiki

目次

拒食症とは

 拒食症(神経性食欲不振症 / Anorexia Nervosa)は、摂食障害の一つで、痩せたいがためにものを食べず、ひどくやせ細ってしまう人のことをいい、若い女性に多くみられる。不健康なほどに細くなっても、その人はやせ願望にとらわれているのでまったく気にせず、さらには”もっと痩せなくては”と思ってしまう。  原因としては様々な要因が挙げられるが、特に心理的要因が大きいと思われる。


拒食症の身体障害

 全ての拒食症患者にみられるわけではないが、主な身体障害を以下に挙げる。 ①無月経  拒食症となった女性は、痩せていくとまず生理が止まる。これを長く放置すると子宮や卵巣の回復が遅くなり、出産が難しくなる。本人の自覚症状としてはとても気にするタイプとまったく気にしないタイプがおり、気にしないタイプの人のほうが重傷である。  生理は体重の減り方と相関関係にあり、体重が標準体重のマイナス15パーセント以上減ると生理がなくなり、体重が標準体重に近づかないと回復しないことが多い。  生理がなくなると、女性ホルモンが減っていき、女性らしさが失われ、体つきもゴツゴツしてくる。 ②むし歯  拒食症の人は一般に栄養失調であり、カルシウムが歯まで行かずに歯がやせ細る。吐く患者は、胃酸によって歯のエナメル質が溶け、歯がなくなってしまうこともある。 ③寒がり  痩せてくると脂肪とか筋肉が少なくなり、体温を保つ機能が薄れてくる。それに、痩せてくることにより甲状腺ホルモンが低くなるため、新陳代謝が悪くなり、身体を温める機能が乏しくなって極度に寒がる。 ④脱毛  ②のむし歯と同じで、栄養失調のためにたんぱく質が不足し、毛髪が抜けやすくなる。中には、黒い毛が薄茶色に変色してしまう。 ⑤体毛が増える  理由ははっきりしてないが、おそらくホルモンバランスが崩れるために、背中などに産毛より少し濃い体毛が一面に生えることがある。体重が戻れば消失する。 ⑥気胸  肺とろく膜の間に空気が入り、肺の一部がすぼんでしまう。 ⑦心臓障害  心筋障害により、不整脈、徐脈、うっ血性心不全などを生じることがある。 ⑧脳の委縮  極端なやせのため脳がひからび委縮してしまうことがある。 ⑨落命 体重が減りすぎ、栄養失調のため、死につながる恐れがある。

他にもさまざまな身体障害があらわれることもある。


拒食症の治療

 拒食症の人は、入院することを極端に嫌がり、ひどく痩せていても本人は気にしていないことが多いため治療がむずかしい。 拒食症の治療には、行動療法、入院体重設定法などがある。


参考文献

『過食・拒食 ○親子関係ストレス症候群』黒川順夫 双葉社  1997年 『食べられないやめられない 摂食障害』久保木富房 不安・抑うつ臨床研究会/編 日本評論社 2002年 『摂食障害 食べない、食べられない、食べたらとまらない』切池信夫 医学書院 2000年


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