捕鯨問題
出典: Jinkawiki
目次 |
概要
捕鯨問題とは、クジラやイルカの捕獲をめぐった国際的な論争、摩擦のこと。捕鯨とあるが、イルカやシャチなどの漁も含まれる。様々な文化論や思想が絡み合い、問題は複雑化している。具体的には、捕鯨を「食文化」と捉えるか、「動物愛護の精神に反する行為」と捉えるかで意見が分かれている。
日本では石川県の真脇遺跡から約5000年前のイルカの骨が出土していることから、縄文時代には捕鯨の文化が存在していたことが分かる。欧米では、ノルウェーで紀元前3000年以降と見られるイルカ又は鯨を描いた洞窟壁画が発見されている。また、11世紀にはイベリア半島のバスク人が捕鯨を行っていたとされている。捕鯨は、日本では鯨肉(食用)、欧米では鯨油(燃料などに重宝されていた)を目的に行われた。欧米の捕鯨では鯨肉の多くは捨てられていた。
世界中で商業捕鯨が多く行われるようになったのは12世紀に入ってからである。このあたりから世界中(日本含む)で鯨の乱獲が行われ、鯨の頭数は1940年頃までには激減した。
鯨の頭数の激減により捕鯨反対のムードが高まると共に、1940年にはアメリカが、1941年には日本が商業捕鯨を中止する。世界中で捕鯨が中止される。
IWC(国際捕鯨委員会)
1946年の国際捕鯨取締条約に基づいて設立された国際機関。日本が条約に加入したのは1951年。現在では捕鯨派と反捕鯨派が意見をぶつけ合う場となっている。
1982年に採択された国際捕鯨モラトリアムは、「商業捕鯨は鯨の頭数が捕鯨をするのに十分であるという科学的に信頼できるデータを提示できるまで全面的に中止し、再開する場合にも必要最低限の量にとどめた場合に限る」という内容のものである。これによって日本は商業捕鯨を中止し、鯨の頭数を調べるために調査捕鯨を開始する。
調査捕鯨・鯨の種類
前述した国際捕鯨モラトリアムにおいて、日本は鯨の頭数及びその生態系を調査するために、南極海と北太平洋で調査捕鯨を行っている。一口に「鯨」と言っても、その種類は様々である。鯨の頭数は現在でも減少しているイメージがあるかもしれないが、じつは商業捕鯨が中止されたことによって数を増やしている種もあることがわかった。特にミンククジラはすでに760000頭以上にまで回復している(1990年IWC調査)。近年では逆に、魚介類を大量に食べるクジラだけを保護して他の魚介類を自由に捕獲してしまうと、クジラが増えすぎて生態系に悪影響を及ぼすとも言われている(日本鯨類研究所)
○頭数が増加している鯨 ミンククジラ ザトウクジラ セミクジラ ナガスクジラ コククジラ 等
○現在でも絶滅が心配されている鯨 シロナガスクジラ ホッキョククジラ
捕鯨賛成派の主張
・捕鯨は日本の伝統的な文化である。「食べなくても生きていける」というのは考え方のベクトルが違う。
・IWCの調査によるとクジラの頭数は商業捕鯨可能な数まで回復している。
・クジラ減少の要因は乱獲であって、捕鯨はしっかりした管理のもとで行えば問題はない。
・「クジラが可愛そうだから」というのは、あくまで感情論であって、牛や豚などの食用として一般的な動物に対して不公平な考え方である。
・クジラは家畜として増やすことはできないが、捕鯨する数に制限を設ければ頭数の維持は十分に可能である。
・鯨肉の需要が少ないとされているのは商業捕鯨が中止されたことから起こった当然の流れである。そもそも、需要が少ないからというのは捕鯨禁止の理由にはならない。
捕鯨反対派の主張
・商業捕鯨が再開されれば再びクジラが絶滅の危機にさらされる可能性は否定できない。
・IWCの調査結果は信用できない。
・クジラは美しい生き物で知能も高く、殺すのはかわいそう。
・クジラを食べなくても生きていけるし、そもそも鯨肉の需要は少ない。
・牛や豚などは家畜として増やすことができるが、クジラはそうはいかない。
参考文献
「美味しんぼ13巻」原作:雁屋哲 作画:花咲アキラ (株)小学館 昭和63年 http://www.whaling.jp/history.html 2011/11/23 閲覧
http://mediasabor.jp/2007/10/_vs_1.html 2011/11/23閲覧
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/science/whales_and_whaling/ 2011/11/23閲覧
http://www.greenpeace.org/japan/ja/ 2011/11/23閲覧
捕鯨(Wikipedia)
鯨肉(Wikipedia)