放射線
出典: Jinkawiki
厳密に言うと、「放射線」は電波や光など、人体にとって無害なものも多く含みます。しかし、ある種の放射線は化学的な結合を壊すのに十分なエネルギーを持っており、我々の体内にある重要な化学的結合を壊しうるため、とても危険になってくるのです。このような放射線は「電離放射線」と呼ばれ、紫外線などが身近な例です。全ての電離放射線には危険性がありますが、場合によってある種類は、他のものよりも危ないことがあります。少し難しく聞こえるかもしれませんが、まずは放射線の種類と、それらが我々にどう影響しているかを詳しくみる必要があります。電離放射線の主なものは粒子線であるα(アルファ)線とβ(ベータ)線、そし て電磁波であるγ(ガンマ)線です。 α線はα粒子の流れのことです。α粒子は2つの陽子と2つの中性子でできています。粒子からできているので粒子線ともよばれます。α粒子は他の放射線よりも重く、ゆっくり動くので、電離させる力が大きいです(つまり、破壊力が大きいということです)。大きく、スピードが遅く、反応性が高いために、この粒子は遠くに届くことができません。空気中ではせいぜい数センチしか届きませんし、皮膚にあたると1/10 mm以下しか動けません。つまり、この放射線は紙1枚、あるいは我々の表皮を構成する死んだ細胞で簡単に止められるということです。しかし、遠くへは届かないものの、α線は移動できる短い距離の間では、他の種類の放射線よりももっと大きな傷害を引き起こすのです。α粒子の透過性が低いということは、その放出源が体外にあれば特に危険ではないということです。しかし、もし食べたり、吸い込まれたりして体内に取り込まれると、α粒子は細胞近くまで接近する、もしくは中にまで入り込んでしまい、大きなダメージを与えうるのです。 β線もα線と同じように、β粒子の流れのことです。β粒子の正体は、原子の核から放出された非常に速く動く電子です。これは中性子が陽子になる「β崩壊」という現象の際に起こります。β粒子は速く、たくさんのエネルギーを持っています(といっても、エネルギー値にはかなり幅がありますが)。β粒子はα粒子より電離させる力が弱く、α粒子よりは傷害を与えることはありません。しかし、α粒子より深くまで物質を透過することができます。β粒子は、空気中ではm単位で、皮膚でもmm単位で進むことができます。つまり、β粒子を放出する同位体が近くにあると、皮膚にダメージを受けることもあるのです。もちろん、摂取されれば、内臓への影響も考えられます。 最後は「γ線」です。粒子で構成されるα粒子、β粒子と違い、γ線は電波、マイクロ波、可視光などの仲間の電磁波です。γ線はX線に似ていて、エネルギーを多く持ち、プラスチック、肉体、そしてスチールまでも簡単に透過してしまいます。実際、γ線を防ぐためには、厚い鉛の板が必要です。このため、γ線を放出する放射性同位体は、摂取されずとも体内の組織にまで影響を及ぼします。
参考URL:http://tsukubascience.com/houshasentohananika-houshasennoshurui/