政教分離

出典: Jinkawiki

政教分離


目次

政教分離の原則

憲法で、宗教団体が国から特権を受けたり、政治上の権力を行使することを禁止し、国及びその他の機関が宗教教育などの宗教的活動をすることを禁止していることから、このような政府と宗教の分離を政教分離の原則という。法令は次の通り。

日本国憲法 第20条1項 

自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。

③国及びその他の機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。

第89条 公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。

教育基本法 第15条

宗教に関する寛容の態度、宗教に関する一般的な教養及び宗教の社会生活における地位は、教育上尊重されなければならない。

2 国及び地方公共団体が設置する学校は、特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしてはならない。


靖国神社参拝

神道である靖国神社に首相が参拝することは賛否両論である。一般的な市民が個人的に参拝するなら信教の自由であって、何の問題もない。しかし、中国政府や韓国政府、日本国内からも反発される中、首相が参拝することは行政の代表として参拝していると思われてもおかしくない。なお、A級戦犯が祀られているという点宗教とは別に問題とされているのでここでは触れない。


津地鎮祭訴訟 (最大判昭和52年7月3日 民集31巻4号553項)

津市が市体育館の施工にあたり、神式の地鎮祭を行い、公金7633円を支出したことが政教分離原則に違反するかどうかが争点の住民訴訟。控訴審では神式地鎮祭は宗教行事であるとされたのに対し、最高裁の判決では宗教的活動には「目的・効果基準」があるとした。神式地鎮祭は目的が世俗的であり、神道を助長することや他の宗教を圧迫するものではないから宗教的行事ではない。したがって、政教分離には違反しないという結果になった。

目的・効果基準:アメリカ合衆国最高裁の判例(lemon v . Kurtzman , 403 U.S 602(1971))からレモンテストと呼ばれる。①世俗的目的を持つか ②その主要な効果が宗教を助長し、または圧迫するものでないか ③宗教との過度なかかわり合いを促さないか の3点が問われる。


引用・参考文献

渋谷秀樹・赤坂正浩著『憲法1 人権』有斐閣 2007/4/1 第3版

『三省堂新六法2007 平成19年度版』三省堂 2006/10/10


written by oimo


  人間科学大事典

    ---50音の分類リンク---
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                          
                  
          

  構成