政治的ポピュリズム
出典: Jinkawiki
概要
政治に関して理性的に判断する知的な市民よりも、情緒や感情によって態度を決める大衆を重視し、その支持を求める手法あるいはそうした大衆の基盤に立つ運動をポピュリズムと呼ぶ。ポピュリズムは諸刃の剣である。庶民の素朴な常識によってエリートの腐敗や特権を是正するという方向に向かうとき、ポピュリズムは改革のエネルギーとなることもある。しかし、大衆の欲求不満や不安をあおってリーダーへの支持の源泉とするという手法が乱用されれば、民主政治は衆愚政治に堕し、庶民のエネルギーは自由の破壊、集団的熱狂に向かいうる。例えば、共産主義への恐怖を背景にした1950年代前半の米国におけるマッカーシズムなどがその代表例である。民主政治は常にポピュリズムに堕する危険性を持つ。そのような場合、問題を単純化し、思考や議論を回避することがどのような害悪をもたらすか、国民に語りかけ、考えさせるのがリーダーの役割である。
ポピュリズムの由来・起源
「ポピュリズム」という言葉の歴史を紐解くと、19世紀末に結党されたアメリカ合衆国の人民党(ポピュリスト党)を通じて広まった言葉であるとされています。 人民党はアメリカのポピュリズム運動のなかで設立された政党で、当時は貧しい綿や小麦などの農家を支持基盤とし、エリート層に敵意を向けることによって急進的な運動として拡大した歴史があります。 そのため「ポピュリズム」や「ポピュリスト」という言葉は、民衆の利益のための反エリート主義の意味で使われるようになったこと側面があることを押さえておきましょう。
ポピュリズムの特徴
上述のように、ポピュリズムは一部の民衆の一時的な感情や欲求、その場の空気などに迎合するように政治的な態度や主張を決め、それによって人気を獲得したり政治的基盤を確立することだといわれています。そこで多くの人が疑問に思うのが、大衆の意見を取り入れて政治に反映する「民主主義とポピュリズムはどう違うのか?」ということです。すでに説明したように、正しい位置づけでポピュリズムの対立概念を設定するのはなかなか難しく、民主主義も例外ではありません。しかし必ずしも対立構造にはならないものの、両者の間には明確な違いがあるといわれています。 参考文献 ポピュリズムの本質 谷口将紀 中央公論社(2018)