教育相談機関
出典: Jinkawiki
概要
広義には、学齢期の児童・生徒の心理的な問題や、教育の問題に関する相談を扱う相談機関を指す。代表としては、教育委員会の教育相談室があるが、このほか、公的な教育相談機関として、児童福祉法にのっとって運営されている児童相談所をはじめ、各地の警察署の少年センターや少年係、家庭裁判所、少年鑑別所、保護観察所、社会福祉事務所などにも相談室が設けられ、これらも、子どもの教育や抵抗に関する相談を受け付けている。さらに、民間の営利・非営利の個人もしくは団体も子どもに関する相談を受ける。そこで、広義に教育相談機関という場合には、幼稚園から小・中・高等学校に籍のある者やその学齢にある者、あるいは未成年を対象としている相談機関をも含めて考えられる。一方、狭義に「教育相談室」という場合は、教育委員会が設置する教育相談機関のことを指す。教育委員会の教育相談室は、各都道府県に設けられ、東京都では区市町にいたるまで相談室が設置されている。全国的にいえば、市のレベルで教育相談室のある場合はそれほど多くない。その設置の根拠であるが、児童相談所の場合は児童福祉法によって、また、精神保健福祉センターが精神保健福祉法によって、各都道府県には必ず設置されることが規定されている。これに対して、教育委員会の設置する教育相談室では特に設置のための法的な根拠はない。各教育委員会の条例、規則や教育センターや教育研修所、教育研究所の規則などによって、その運営が定められている。したがって、そこでの相談システム、相談員の構成などは、各相談室に任されており、一定の基準があるわけではない。
相談システム
相談は来所による相談と電話相談の両者が併設されている場合が多い。来所による相談は、保護者からの申し込みを原則とする。申し込みがなされると受理面接(インテーク面接)が行われる。受理面接がを行った者(インテーカー)の報告を得て、その相談機関で事例を継続していくか否か、他機関に紹介するかを吟味したうえで、担当者を決定する。その後面接が開始されるが、保護者に対してはカウンセリング、コンサルテーション、ガイダンスが行われ、子どもに対してはカウンセリングや遊戯療法などが行われる。場合によっては、教師からの児童・生徒の指導に関する相談を受け、教師にその対処方法についてコンサルテーションを行っている機関もある。教育委員会が管轄する教育相談機関では、その性質上、学校との連携がスムースに行われやすいところに特徴がある。また、子どもの相談では、子どもの問題行動の除去のみならず、教育的に意義あるかかわりや発達を促進・支援するかかわりを絶えず意識する必要がある。この点で、教育領域と近接している機関として。学校の教育活動を補完するような活動が期待されることも多い。
参考文献
坂野雄二(編) 臨床心理キーワード[補正版] 有斐閣双書,2000