教育福祉

出典: Jinkawiki

教育とは、日本国憲法第26条及び、教育基本法第4条で定めた国民の教育を受ける機会均等に関する権利、すなわち、教育権を保障する制度・政策が基本で、これに職域における企業内教育などの事業・活動が加わる。一方、福祉とは端的に幸福の追求であり、かつその実現のための努力の過程としてとらえる。このうち、幸福の追求とは、福祉を目指す目的概念であり、その実現のための努力の過程とは幸福の追求を社会的に実現すべく、社会福祉に関わる専門的な知識や技術を通じ、その実現を目指す実体概念である。 したがって、教育福祉は、国が国民に対して教育権と生存権を保障し、福祉社会の構築(形成)のために有用な人材の育成、および国民が、長い人生における様々な問題を解決し、自己実現と社会変革を目指すことにより、だれでも住み慣れた地域でいつまでも健康で自立して生活することができるよう、自己及び他者の幸福のため、教育と社会福祉に関わる総合的な制度・政策及び事業・活動と概念づけられる。


一般教育福祉の2類型

国民一般を対象とした教育福祉は、大きく教育における福祉的対応と広義の福祉教育の2つに分けられる。両者とも国民の学習権、および教育権の実体化に向けた人間形成における条件整備の思想と、これらを通し、主権者としての福祉の担い手を形成する福祉主体の形成の思想にもとづく行為として、積極的には統合的に把握されるべきだと言われている。 教育における福祉的対応とは、主として国民の学習権の享受を実体的に保障する営みとして、学校教育や社会(地域)教育、あるいは家庭教育において、これらの教育活動を円滑に推進し、かつ教育の受益者の教育成果を増進するために行われる対応を指す。歴史的な成立の順序に即せば、学校保健(学校衛生)活動、学校給食活動、学校安全及び災害共済給付、就学援助制度、スクールソーシャルワークなどがある。 広義の福祉教育は主権者としての福祉の担い手を形成する。各教科を通じた教科教育としての福祉教育(福祉学習)、「総合的な学習の時間(総合)」を活用した福祉教育、道徳教育を通した福祉教育、特別活動・教科以外の教育活動における福祉的活動への参加を通した福祉教育、学校外活動やボランティア活動を通じた福祉教育があげられる。これらの福祉教育は、学校の普通教育における福祉教育という観点から、学校福祉教育と呼ばれることもある。また、これらの福祉教育の主要な内容の1つとして、学校におけるボランティア活動の参加があげられることから、学童・生徒のボランティア活動普及事業やボランティア学習として広く理解されている場合もある。小学校低学年の生活科や高学年の社会科、中学校の社会科、高等学校の現代社会など、教科学習の中でも福祉に関する学習は、内容として取り上げられている。


教育福祉の沿革(17世紀、海外)

フランスのヴァンサン・ド・ポールが17世紀、慈善婦人協会・慈善姉妹団を設立し、慈善活動専門の担い手を養成したのが始まりである。また、アメリカでは1727年、ベンジャンミン・フランクリンにより、あらゆる年齢層が参加できるジャントー討論会が催されたほか、1826年、ホルブルックのニューイングランドでのライシャルム運動を機に成人教育(Adult Education)やコミュニティサービス機関によるライシャム連続講座は、今なお続けられている。さらに1874年、ニューヨーク州のサマースクール(夏期講座)で移民教育も行われた。イギリスでは、1874年にヒルが低家賃住宅の家賃集めの仕事の応援者の必要上、生活条件の理解や改善方法の学習を始め、アメリカにおける慈善組織協会の活動に影響を与えた。また、1870年、フォスター教育法、あるいはその後の「シーボーム報告」にもとづき、福祉教育として学校を無断で欠席したり、強制労働させられたりした児童生徒への保護や教育、監督が行われた。


参考

『教育福祉論 生涯学習と相談援助』川村匡由・瀧澤利行編著 ミネルヴァ書房

http://www.zcwvc.net/福祉教育-ボランティア学習について/福祉教育について/

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