斉藤道三

出典: Jinkawiki

斉藤道三

二代で美濃を簒奪

 美濃一国の「国盗り」を成し遂げた斉藤道三は京都で僧侶だった父・西村新左衛門尉が築いた土台を発展させ、非道な裏切りと謀略を駆使し一介の僧侶だった先代からわずか二代で一国の主へと上り詰めた。 道三は行商の油売りから身を立てたと言われており、一文銭の穴を通して油をツボに移すという奇抜な芸で人気を集めた。そして行商として美濃の情報を収集し、城内外の動静にも通じるようになったという、器用で頭も切れた道三らしいエピソードである。  道三の父・新左衛門尉は還俗して美濃の守護・土岐氏の家臣であった長井弥二郎に仕え、西村と名乗り土岐家中の混乱に乗じ土岐氏の三奉行の一人まで出世した。  新左衛門尉は主人の長井長弘とともに土岐頼芸を担いで、美濃守護の土岐頼武と守護代の斉藤利良を追放するクーデターに成功し、ついに土岐家の中心に食い込むことに成功する。頼芸は自分を守護の地位につけてくれた新左衛門尉を信用するようになった。  新左衛門尉の死後そのあとをついだ道三は主人である長井氏の惣領・長井影弘を倒し、長井家の家督と所領を奪うばかりか、長井姓まで名乗るようになる。次の道三のターゲットは、守護代だった斉藤家で、道三はそれも乗っ取り、斉藤姓を名乗った。こうなるともはや守護の土岐家も道三の敵ではなかった。道三は頼芸を尾張に追放し、とうとう美濃を手に入れた。道三は家臣でありながら実に長井家、斉藤家、土岐家の3家の主人を謀略で倒したのだった。

策士、策に溺れる

 だが道三の非道は、土岐・斉藤一族の反抗、そしてそれと結ぶ隣国の朝倉・織田氏の侵攻を招いた。そこで道三は娘・濃姫を織田信長に嫁がせる。斉藤家と織田家の和睦が成立し、道三は美濃を平定。その後剃髪して隠居した道三は嫡男・斉藤義龍に家督を譲る。  この家督相続にも道三らしい策略があったらしい。義龍はかつて土岐頼芸の側室だった女性に産ませた子であり、道三は義龍が実は頼芸の子で土岐家の正統な跡継ぎであるという噂を流したのである。もちろん実権は道三自身が握るつもりだった。そして、義龍よりもその弟たちを偏愛するようになった。  これを見た義龍は不安にかられた。道三が今までどんな非道なことをしてきたのかを知っている義龍は、やがて自分が殺されるのと考えても不思議ではない。そうなる前に道三を倒すことを決意した義龍が「実父、土岐頼芸のかたき」と兵をあげると、道三に不満を持つ旧土岐家の家臣たちが馳せ参じた。その数1万7千。対する道三には2千700の兵しかいなかった。道三は自分の策が裏目にでた形である。だが、道三は逃げずに立ち向かうと、志半ばでその生涯に幕を閉じたのだった。


参考文献

  カラー版徹底図解戦国時代 新星出版社

戦国武将完全ビジュアルガイド 株式会社カンゼン


  人間科学大事典

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