新教育運動

出典: Jinkawiki

19世紀末~20世紀末初頭に欧米、中国、日本などに現れた教育運動の総称。国によって内容は異なるが、教授や訓練における児童生徒の自己活動を重視した点は共通である。日本では大正~昭和初期に谷本富、沢柳政太郎、鈴木三重吉らによって、児童中心、生活主義、郷土教育、自由教育などの主張に立つ運動が発展、第二次世界大戦後は米国の進歩主義教育の影響を受けた教育課程・方法の採用に伴い一時期盛んであった。


各国における新教育運動

<アメリカ:問題解決学習> 20世紀初期、デューイなどが提唱した児童中心主義的な学習理論から生まれた学習方法である。学習者が自らの生活経験の中から問題を発見し、それを実践的に解決していく過程を通して、科学的知識や自主的な問題解決の方法、能力を習得させる。日本でも第二次大戦後に生活単元学習の改善として活用された。


<ドイツ:幼稚園教育>ドイツの教育家であるフレーベルは、生活・労作・遊戯など児童の内発的自己活動を重視し、恩物を考案した。統一的人格の基体としての幼児期に注目し、1837年世界最初の幼稚園を開いた。彼の幼稚園はプロイセン政府によって禁止されたが、彼の弟子たちによって幼稚園運動は引き継がれ、日本もふくめて世界各国に影響を与えた。


<イタリア:モンテッソリ教育法>イタリアの国際的な新教育運動の指導者であるモンテッソリは、障害児研究から出発し、医学と教育の統合の必要性を痛感した。そして心理学と教育学の研究に打ち込み、自然主義的自由主義に立つ教育方法改革を提唱した。1907年ローマに設立された保護施設(子どもの家)で独自の教具を用いて、子どもの自発性を基本としつつ、感覚から概念へと発展させるモンテッソリ教育法を実施し、各国に影響を与えた。


<日本:成城学園>明治、大正期の教育家である沢柳政太郎によって創設された小学校である。新教育運動を背景に、この学校は日本の初等教育改革のための実験校として意図されていた。そして、沢柳はドルトンプランの導入など、大正期の自由教育運動に貢献した。



(参考文献) 『新・教育原理』  柴田義松著 有斐閣双書 『教育用語集』   東京アカデミー編


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