新自由主義
出典: Jinkawiki
新自由主義とは「小さな政府」を理想とし、国家機能から福祉、教育などの分野を削り取り、治安、外交、国防に国家機能を極力限定していこういとする発想である。
新自由主義とは何か
新自由主義とは、一般に次のように把握されている。
資本主義の初期的な発展的に採用された古典的な自由主義が、その後の展開の中で、資本主義的市場での資本の勝利、資本家の勝利、「強い市民」の勝利という帰結をもたらした。それに対し、基本的人権を市民革命によって理念上獲得した広範な勤労大衆が、労働組合や労働者政党などにより政治的な勢力として結集される中で、資本の横暴を規制し、市場競争に規制をかけ、人権と生存権実現のための規制をかけ、福祉的制度を作り、すべての国民に一定水準の生活を保障する社会制度を作りだした。西欧の福祉国家体制はその一つの典型であった。しかし、1970年代後半以降、多国籍化した巨大資本はグローバルな世界制覇戦略に乗り出し、そのための競争力を獲得するために、一つには自国内での大資本に対する規制や市場に対する規制、累進的な税制の撤廃などによって新たな独占的支配力を拡大し、もう一つにはグローバルな世界市場を作り出すために、各国の独自規制を廃止させ、世界中でより自由に利益獲得行動を展開できるよう、強力な圧力をかけ始めたのである。
したがって、それは自由主義批判のうえに形成されてきた民主主義的諸制度や理念、企業活動への一定の規制(たとえば労働時間の制限や解雇への規制など)、福祉的な政策、弱者救済の特別措置、「結果の平等」を意図した諸制度などの今日の社会的到達点を攻撃することを直接の目標とした「新しい」自由主義である。同時にまた、それぞれの国家が実施している自国救済の育成、自国労働者の人権保護を図るためのさまざまな経済規制の廃止を求めるものであり、強者に有利な「自由」な競争市場へそれらの国を「開放」させようとする新たな「自由主義」である。 そのため、新自由主義は、福祉や諸規制を行う行政部門と公務労働部門を縮小することと、各種の「規制緩和」を主張する。しかし、一方で巨大資本の国際競争力を支えるために国家財政をつぎ込み、またグローバルな市場秩序を維持・管理するための強力な軍事力や警察機構を必要とする。今日の日本政府の政策が、そのような構造を強めていることは、だれの目にも明らかとなりつつある。
引用文献
佐貫 浩 2003 新自由主義と教育改革 旬報社
佐藤 優 2009 テロリズムの罠 左巻‐新自由主義社会の行方 角川書店