施設園芸農業

出典: Jinkawiki

 施設園芸農業とは、農地をより高度に利用するために、ガラス室・ビニールハウスなど、加温・保温の種々の容器的施設の中で行われる園芸農業のことをいう。露地で行われる普通園芸と対照をなすものである。ガラス室やビニールハウスによる温室では、各種作物の生育条件に合うように、温度、湿度、照度などの栽培環境を人工的に作り出すことができる。そのため、作物の抑制・促成栽培が可能になり、収穫時期を人工的に調整することができる。

 高度成長期以降、農作物の輸送条件が改善されたことにより、都市から遠く離れた地域でも、都市近郊と同様の作物栽培が行われるようになった。遠隔地ではその地域の気候、土壌、地形などの自然条件に合った作物が栽培され、市場へ出荷されている。例えば、1971年に日本カーフェリーが、宮崎-川崎線を開通したことにより、宮崎県のピーマン収穫量が飛躍的に増加している。温暖な気候の地域では作物の促成栽培がなされ、高地では冷涼な気候を利用した抑制栽培がなされ、有利な販売条件下で市場に出荷している。このような農業は、輸送園芸農業と呼ばれ、大規模なものは、高知県や長野県などの野菜生産地域、渥美半島の電照菊栽培地域、山梨県や岡山県のブドウ栽培地域がある。

《参考文献》

地理用語研究会編『地理用語集』山川出版、2006年。

岩田一彦、片上宗二、池野範男編『社会科 間違いやすい・紛らわしい用語指導辞典』明治図書出版、2007年。


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