旭川学力テスト訴訟
出典: Jinkawiki
1961年文部省が全国の中学生対象に実施しようとした一斉学力テストを「教育への不当な介入」として反対した被告人らは、調査テストを阻止しようとして中学校校舎内に侵入し、校長に暴行を加え、建造物侵入、公務執行妨害の罪に問われた。裁判では、教育内容を決定する権限の所属、子どもの学習権、教員の教育の自由の保障が争われた。
第一審では、学力テストを教育行政機関のよる教育への不当な介入で教育基本法10条に違反するとして公務執行妨害罪の成立を否定した。第二審では、第一誌に判決を支持し、検察側控訴を棄却した。しかし、1976年の最高裁判決では一転、一、二審を破棄し、公務執行妨害罪を成立させた。最高裁の判決要旨としては、「子どもの教育内容を決定する機能がだれにあるかについては、2つの極端に対立する見解があるが、それらはいづれも極端かつ一方的であって、どちらも全面的に採用することはできない。国は、国政の一部として広く適切な教育政策を樹立、実施すべく、憲法上は、あるいは子ども自身の利益の擁護のため、あるいは子どもの成長に対する社会公共の利益と関心にこたえるため、必要かつ相当と認められる範囲において、教育内容についてもこれを決定する権能を有する。しかし、教育に政治的影響が深く入り込む危険があるときには、教育内容に対する介入はできるだけ抑制的であることが要請されるし、子どもが自由かつ独立の陣勝つとして成長することを妨げるような国家的介入、例えば誤った知識や一方的な観念を子どもに植え付けるような内容を施すことを強制するようなことは、憲法26条、13条の規定上からも許されない。」としている。
参考文献
・「政治・経済資料」東京法令出版
・「政治・経済用語集」山川出版社