有袋類
出典: Jinkawiki
有袋類
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有袋類とは
胎盤を持たずに未熟な状態で生んだ子供を育児嚢と呼ばれる袋で子育てするグループのこと。オーストラリア大陸や南アメリカ大陸に生息している。主な有袋類はカンガルー、コアラ、オポッサム等である。
なぜ有袋類は生息地が限られているのか
有袋類の化石は世界中で見つかっており、かつては広い地域で生息していたことが知られている。有袋類の生息地には大陸の移動が大きく関わっている。 2億2500万年前頃、地球には「パンゲア大陸」と呼ばれる1つの大きな大陸があり、そこに最古の哺乳類が誕生した。1億2500万年前頃、哺乳類は有袋類と真獣類に分かれた(真獣類とはヒトのように胎盤を作る哺乳類である)。有袋類は、およそ6600年前北アメリカ大陸から南アメリカ大陸へと進出した。さらに1000万年後南アメリカにいた有袋類は、地続きであった南極大陸、そしてオーストラリア大陸へと進出し、それぞれの大陸で繁栄し続けた。約300万年前、南アメリカと北アメリカが再び地続きになり、北アメリカから南アメリカへと真獣類が侵入してきた。その結果、南アメリカに生息していた有袋類は真獣類に追いやられてほとんど絶滅してしまった。 しかしオーストラリア大陸は、分離してからどの大陸とも地続きになっておらず、真獣類の侵入もほぼないため、現在でも有袋類が繁栄し続けている。
有袋類の子の成長
有袋類の子育ては特徴的である。ヒトは妊娠すると、子宮内に母体と胎児をつなぐ胎盤がつくられる。この胎盤を通じて、栄養素や酸素が胎児に供給される。しかし、有袋類は哺乳類の仲間であるが妊娠しても胎盤がつくられない。そのため有袋類は未熟な子供を産み、お腹にある育児嚢で子供を育てる。育児脳には乳頭がついておりこれに吸い付いて母乳を飲み育っていく。 アカカンガルーの妊娠期間は約33日と非常に短い。同じサイズの草食獣であるヤギやヒツジは約半年であることからも短さがわかる。そのため新生児が生まれてくるときは芋虫のように小さいのである。全長は2~3㎝、体重は約1gしかない。この段階では後肢はほとんど見えないが前肢は発達している。この発達した前肢を使って自力で母親の育児嚢に這い上がり乳頭に吸い付く。生後60~70日ごろまで子供は乳頭に吸い付いた状態が続く。生後5~6か月で育児嚢から顔をだし6~7か月にはじめて地上に降り立つ。8~12か月になると完全に育児嚢を離れる。
参考文献
・[1]
・Newton 2015年5月号 株式会社ニュートンプレス
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