朝日訴訟2

出典: Jinkawiki

朝日訴訟は岡山県に入院していた重症結核患者の朝日茂さん(当時44歳)が起こした裁判である。この朝日訴訟は憲法第25条生存権『健康で文化的な最低限度の生活を営む権利』の保障を求めた裁判として有名だ。朝日茂さんは、国から月600円の生活保護給付金を受けて生活していたが、月々600円での生活は困難であり、保護給付金の増額を求めた。1956年(昭和31年)市の福祉事務所は朝日茂さんの兄に対し月1500円の仕送りを命じた。市の福祉事務所は同年8月分から従来の日用品費の支給を朝日茂さん本人に渡し、上回る分の900円を医療費の一部自己負担分とする保護変更処分(仕送りによって浮いた分の900円は医療費として療養所に納めよというもの)を行った。これに対し、朝日茂さんが岡山県知事に不服申立てを行なったが却下され、次いで厚生大臣に不服申立てを行なうも、厚生大臣もこれを却下したことから、朝日茂さんが訴訟を提起するに及んだものである。この訴訟は朝日茂さんが途中で亡くなってしまい、判決は出されることはなかった。憲法の特定の人権規定に関して、形式的に人権として法文においては規定されていても、実質的には国の努力目標や政策的方針を規定したにとどまり、直接個々の国民に対して具体的権利を賦与したものではないとする考え方である『プログラム規定説』が問題となったのもこの朝日訴訟である。


参考文献 朝日訴訟運動史

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