条約難民

出典: Jinkawiki


条約難民

 1951年に国連で決議された「難民の地位に関する条約」と1967年の「難民の地位に 関する議定書」の2つを合わせて難民条約という。この難民条約では、難民というのは「人種、 宗教、国籍もしくは特定の社会的集団の構成員であること。または、政治的意見を理由に迫害 をうけるおそれのあるという十分に理由のある恐怖を有するために国籍国の外におり、国籍国 の保護を望まないもの」と、定義している。 日本においては、昭和50年代前半のインドシナ難民の大量流出を契機に、難民問題に関する 議論が急速に高まった。これを受け、昭和56年6月の通常国会において、難民条約・議定書 (1967年の難民の地位に関する議定書)への加入が承認され、昭和56年10月3日に難 民条約に、昭和57年1月1日に難民議定書に加入、昭和57年1月1日から同条約・議定書 が我が国について発効することとなった。  今日までの難民申請者は昭和57~平成20年で申請者:7297人。そのうち、認定:5 08人、不認定4399人となっている。  「条約難民」として認められるためには、難民条約に加入している国に申請して、審査を受 けなくてはならない。日本では、難民と認められると、難民として保護を受けることができる。 日本で受けられる保護として、①迫害をうける恐れのある国に送還されること危険がなくなる。 ②日本に永住できる条件が緩和される。③難民旅行証明書(パスポートのかわりになるもの)や、 国民年金、児童福祉手当、福祉手当などの受給資格を得ることができる。しかし、この条件と いうのは、あくまでも、迫害を逃れてきたものである。 「難民」とは区切られないが保護を必要としている人たちもいる。そのような人たちを「広義 の難民」という。広義の難民は内戦や民族紛争、クーデター、飢餓のためにやむを得ず住み慣 れた故国を離れた人々である。「難民」には故国を離れた人ばかりではなく、「国内避難民」と いった、国境を越えることができずに避難生活を送っている人もいる。彼らも保護を必要とし ている。さらに、日本への帰還民、彼らは、難民の保護の「国連難民高等弁務官」(UNHCR)の援 助対象者となる場合がある。


日本の難民問題

インドシナ難民の到来以前は、難民において法が制度化し、整備されることはなかった。19 75年からインドシナ難民の到来をきっかけに日本は、難民条約加入に進んだ。ベトナムの定 住の受け入れを決定した。しかし1980年後半、難民性に疑問のある人々が多く出現した。 そのため、1989年より、難民性の審査が行われるようになった。 上記でも記したが、昭和57~平成20年の間で、難民申請者:7297人である。そのうち、 認定:508人。彼らの対する日本の取り組みはどうなっているのだろうか。


日本の難民保護に関する本質的な問題への取り組みについて

1)公正な難民認定手続の確立の必要性:難民認定の審査に専門性と公正さを確保するための 独立した機関と機能の整備 2)上陸時からの難民保護の必要性

  • 庇護を希望する者への入国、上陸時点での保護(難民認定申請手続が受けられる)体制の整備

3)生活支援整備の必要性

  • 難民保護の中核である難民および申請者の生活支援についての関連する法律等の整備

となっている。しかし、日本の制度は十分ではないと考える。実際に、申請者:7297人に たいし、不認定4399人である。不認定とされた人でも本当に保護を必要としている人は多 くいる。しかもこの人たちは、故国に帰国することも恐れながら生活しなければならない。さ らに、不認定されると、退去強制もある。日本に逃れてきたのに、また辛い日々を送らなけれ ばならないということになる。

このような疑問が残っているなか、2004年に国会で採択された改正難民認定制度が、20 05年5月16日から施行された。難民条約に加入、法制定以降、初の改正は大きな一歩であ るが、幾つかの課題も残っている。 改正主要は以下の3点。 1つは、これまでは入国後60日以内に難民申請をしなった場合、それだけを理由に不認定とな ることがあったが、その期間制限が撤廃されたこと。 次に法的地位の安定化。これまで難民認 定の審査期間中であっても、不法滞在を理由に難民認定申請者が強制退去や強制収容(拘禁) などの対象となる事例があり、非人道的扱いであるとして問題視されてきた。改正により申請 者の法的地位の安定を図るため「仮滞在許可」制度が創設。しかし許可を受けるための複数の 要件のなかには、入国管理局の裁量によって判断が変わるものが多く、どのように適用される のかは不透明さを残している。しかし、仮滞在許可を得ても、日本で働くことは許されない。 現在、日本人でさえも就職が大変だが、働くことはゆるすべきであると思う。また、難民とし て認定を受けた場合であっても、在留許可についてはその後、別途手続きを行う必要があった が、法的地位の安定を早期にはかるために、難民として認定するか否かの判断と、在留を許可 するか否かの判断を同時に行い、法的地位の安定化が早期にはかられることとなった。しかし 難民として認定を受けた者が在留許可を受けられないことが想定されており、実務上、在留資 格を受けられない人が発生した場合、差別の禁止など条約履行の観点から問題となりうる可能 性がある。そして.難民審査「参与員」制度の創設である。難民認定手続きの公正性・中立性を 高めるため、第三者を不服申立ての審査手続きに関与させる難民審査参与員制度が創設された。   ≪参考文献≫ 難民支援協会 http://www.refugee.or.jp/library/summary.shtml

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