東京オリンピック

出典: Jinkawiki

1964年、東京オリンピック

 1964年の10月10日、東京の国立競技場で東京オリンピックの開催式が行われ、第18回オリンピックが東京で開催された。20競技163種目に、93の国と地域から5152人が参加して熱戦を繰り広げた。さらに、この大会はアジア初のオリンピックであり、大成功に終わった。東京オリンピックは世界のトップレベルの競技に直接・間接に接する機会を日本国民に提供し、これまでスポーツに関わる事のほとんどなかった老人、女性を含め、広範な国民のスポーツに対する関心を高めた。日本にスポーツを普及させる要因となったため日本サッカーリーグの誕生、スポーツクラブの一般化など、この国でスポーツが生活の一部となるきっかけともなった。それだけでなく、東京オリンピックは体育・スポーツの分野にとどまらず、戦後日本の政治・経済・市民生活に大きな影響を与えた。例として、大会に合わせて首都高速道路や東海道新幹線の開通などが挙げられる。


 東京オリンピックの誘致が決定されたのは1952年であった。東京都議会でまず誘致が決議され、その後翌年に衆議院も大会誘致を決議し、東京都は国会と日本政府の全面的支援を受け、1959年に第18回オリンピックが東京で行われることが決定された。それを受けて日本政府はオリンピック東京大会準備対策協議会、オリンピック担当大臣やオリンピック関係閣僚懇談会を設置するとともに、文部省体育局にオリンピック課を作り、スポーツ振興法という法律も制定した。これにより、競技力向上のための有力な選手強化が行われた。日本の財界からも東京オリンピックに対する期待があり、日本の国際的PR、ナショナリズムの高揚、公共投資による社会資本の充実などさまざまな思惑が存在していた。一方、東京オリンピックは政治の面でも大きな意味を持っていた。当時の池田内閣にとって安保闘争の高揚がもたらした政治危機を回避し、政治的・経済的安定と国民の支持を獲得する絶好のチャンスであった。東京オリンピックの成功・不成功は自民党・日本政府にかかっていたのである。また、東京オリンピックは単なる国際的なスポーツ大会ではなく、復興と経済成長を遂げた日本を先進国として内外に宣揚する国家的課題を担っており、対米依存の経済成長・再軍備を目指す支配層の国家戦略の一翼を担っていた。そのため日本政府はオリンピック翼賛体制を作り上げた。政府と財界が多様な組織と機会を通して君が代や日の丸を宣伝し、オリンピックの開催を通して日本の先進国への仲間入りをしたことを示す国家的目的も持っていた。


2020年、東京オリンピック

 2013年のオリンピック委員会総会において、56年ぶり、2回目となる東京オリンピックが2020年に行われることが決定した。オリンピックは2020年7月24日~8月9日で、パラリンピックは2020年8月25日~9月6日の日程で開催される。競技数は33競技339種目行われる予定である。2020年のオリンピックでは「全員が自己ベスト」「多様性と調和」「未来への継承」という3つの基本コンセプトがあり、史上最もイノベーティブで世界に最もポジティブな改革をもたらす大会を目標にしている。1回目の時のように大成功のオリンピックが行われることを期待する。


「全員が自己ベスト」・・・

  万全の準備と運営によって、安全・安心で、すべてのアスリートが最高のパフォーマンスを発揮し、自己ベストを記録できる大会を実現。世界最高水準のテクノロジーを競技会場の整備や大会運営に活用。ボランティアを含むすべての日本人が、世界中の人々を最高の「おもてなし」で歓迎。


「多様性と調和」・・・

  人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治、障がいの有無など、あらゆる面での違いを肯定し、自然に受け入れ、互いに認め合うことで社会は進歩。東京2020大会を、世界中の人々が多様性と調和の重要性を改めて認識し、共生社会をはぐくむ契機となるような大会とする。


「未来への継承」・・・

  東京1964大会は、日本を大きく変え、世界を強く意識する契機になるとともに、高度成長の弾みとなった大会。東京2020大会は、成熟国家となった日本が、今度は世界にポジティブな変革を促し、それらをレガシーとして未来へ継承していく。


参考文献

 権学俊「国民体育大会の研究」青木書店  

 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会HP https://tokyo2020.org/jp/


HN.96


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