森の幼稚園 2
出典: Jinkawiki
「森の幼稚園」は1950年代半ばにデンマークに誕生した。
ドイツでは1990年代半ばからその数が急激に増え、環境教育に熱心な両親のみならず、若者世代を取り込もうと懸命な環境行政や、発育への影響に関心を寄せる科学者からも大きな注目を集めている。
森の幼稚園の重要なコンセプトは「五感を使った自然体験」であり、これは環境教育の分野では、「環境市民」を育てるための重要なプロセスだとされている。世界的に見ると、ドイツ国内で最も数多く開園されている。
森の幼稚園は園舎も、囲われた敷地も、備え付けの遊具もない。子どもたちは一年中四季を通して森の中で生活し、枯れ枝や落ち葉などを使って、想像力のおもむくまま自由に遊ぶ。
約50年前、デンマークのエラ・フラタウという女性は、自分の子どもを毎日近くの森に連れて行き遊んでいた。それを見ていた近所の人達は、当時幼稚園が不足していたこともあって、彼女に自分たちの子どもも一緒に面倒を見てもらってはどうかと考えるようになった。やがて彼女の周りに住んでいた小さな子どもを持つ親たちは、自主運営によるヨーロッパで最初の森の幼稚園を開園した。 また、ドイツでは1968年にウルスラ・スーベと言う女性が有志の親たちと協力して、ドイツで最初の森の幼稚園を開園した。しかし、1990年代の初めまで森の幼稚園の数はごくわずかで、その存在は世間からほとんど知られていなかった。
1991年、ケースティン・イェプセンとペトラ・イェーガーという2人の幼稚園の先生は、ある教育専門誌でデンマークの森の幼稚園に関する記事を読み、大変感銘を受けた。そこで二人はデンマークで研修を受けた後、1993年に北ドイツにおいて最初に公認の森の幼稚園を設立した。この幼稚園が行った熱心な広報活動により、そのアイデアはドイツ中に広がり、1990年代半ば過ぎから、ドイツ各地で森の幼稚園が開園した。現在その数はドイツ全土で300以上にもなる。
ドイツの森の幼稚園は一般的に園舎を持たず、毎日森へ出かけていくスタイルである。
それに対し日本では、自然環境の中での幼児教育や保育を、森の幼稚園と呼び、園舎を持つところもあれば持たないところもあると、そのスタイルは様々なものがある。しかし、共通していることは自然の環境の中での幼児教育と保育と言うことである。多くの森の幼稚園では意図的に大人の考えや考え方を強要せず、子どもが持っている感覚や感性を信じ、そして引き出すような関わり方をしようという方針が見られる。
また、保育者は自然の中で保育を行う、または積極的に保育活動の中に自然体験活動を取り入れる、野外活動指導者などが、幼児を対象とした自然体験プログラムを行う、保護者が自分の子どもに自然体験活動を経験させたいと望むなどと、この三者がそれぞれの分野で情報を提供しあい共有することにより、日本における今後の森の幼稚園の発展が望まれている。
森の幼稚園を卒園した子どもたちは、机に向かって勉強すると言う経験が少ないため、学習面において普通の幼稚園を卒園した子どもに遅れをとるのではという声も上がっているが、学習面の遅れは小学校入学から2,3ヶ月で追いつくことができ、さらに両者で発育レベルに差はほとんど見られず、むしろ学校に入ってからの成長を見てみると、森の幼稚園を出た子どものほうが、学習面、社会行動面、身体能力と様々な面で成長がよいと言う結果が出ていると言う。