森の幼稚園12

出典: Jinkawiki

目次

概要

森の幼稚園とは、森林等の自然の中で子どもたちに教育を施す運動や団体を指す。自然豊かな環境の中で、子どもたちの感性や情緒を育むことが森の幼稚園における教育の主な目的である。森の幼稚園教育に参加するのは、小学校に就学する以前の子どもたちが中心である。

森の幼稚園の歴史

森の幼稚園は、就学前教育における新たな代替物であり将来展望である。数多くのこの類いの施設の創設にとって決定的なのは激烈な社会変化だったが、その変化は時が経つに連れて子どもたちの体験の機会を減らしていった。この変化によって森の幼稚園に考慮を払う必要が生まれる。ドイツではこのような施設は1990年代初め以降存在し、親や教育学者ばかりでなく、国民の間でも大きな人気を博している。現在、ドイツにはおよそ350の森の幼稚園があり、更に増える傾向にある。新設が続いていることもあり、全ての森の幼稚園の数を把握するのは難しい。

森の幼稚園運動の起源

最初の森の幼稚園は、1954年にデンマークでエラ・フラタウ夫人によって創られた。彼女は、毎日彼女の子どもたちと出掛けて森の中で遊び、自然観察を行った。その幼児たちのための幼稚園の場所が見つけられなかったので、初めは女史個人の家の周りの近くで-その後次第に近所や友人の所で、こういった形で子どもの世話をすることに興味を持った。親たちが自発的に協力し、こうして歴史上最初の森の幼稚園が創立された。今日、デンマークには、この種の施設が70以上存在する。1995年には遂に、代替施設の存在によりデンマークの子どもたち全体で85パーセントが森の幼稚園の場所を入手できるまでになった。

ドイツにおける森の幼稚園の発展

ドイツでは、二人の女性教育者ケルスティン・イェップゼントペトゥラ・イェーガーが、最初の施設を1993年にフレンスブルクに創設した。彼女たちは、専門教育を受けている間に、幼稚園教育学における代替形式興味を示した。1991年4月に専門定期刊行物『遊びと学び』の中の「扉も壁もない幼稚園」という表題の論文で、ウルズラー・フリートリッヒは、デンマークの森の幼稚園運動に注目した。デンマークの森の幼稚園を参観して、彼女は独自の施設を創設する計画を固めた。1991年9月末、彼女は教育学者や心理学者と共に構想を練り上げ、社団を創設した。フレンスブルク市のような所管庁、シュレスヴィッヒ・ホルシュタイン州社会省、連邦少年局により、頻繁に参観があった後、1992年10月彼女たちの遮断は認可され、1993年以降シュレスヴィッヒ・ホルシュタイン州フレンスブルク市の助成を受けることになった。1年遅れてリュウベックの自然幼稚園とバーデン=ヴュルテンベルク州ベルクレンの森の幼稚園の開設準備が調った。こういった手本の後、ドイツでは、このような施設は年々増え続けている。

森の幼稚園の特徴

森の幼稚園は、正規の幼稚園とは本質的に異なる。幼稚園の固有の建物は存在しない。子どもたちは、新鮮な空気の戸外で「風と天気」の下で遊ぶ。これが幼児たちに季節の規則的な移り変わりを直接肌で感じさせる。保育時間も違っていて、ふつう夏期は4時間だが冬期は3時間である。さらに、森の幼稚園では、閉鎖的な部屋よりも運動・活動の場所ははるかに大きい。したがって、この年頃の子どもたちが抱く生来の遊び・運動への衝動は、何にも邪魔されずに発揮できる。森は、躍り、走り、飛びはね、遊び、身を隠し、どろんこになり、その他いろいろなことに豊富な場所を提供する。だが、森の幼稚園の原型なら単純な運動神経の発達向上が図れるばかりでなく、森の幼稚園では複雑な運動能力の育成も軽視しない。

構想の内容と基本理念

正規の幼稚園と同様に、森の幼稚園においても、責任を自覚し協調性を備えた人格への子どもたちの成長が促されなければならない。それぞれの森の幼稚園は、その構想の中で異なった特徴や重点を決めている。法律の基準以外に、全ての森の幼稚園が等しく義務付けられているような普遍的に通用する構想はない。しかし、共通性は明白である。違いはただそれぞれの内容の特徴付けにあるにすぎない。運動に重点を置くものもあれば、、別の所では環境教育あるいは社会的能力の形成を中心にするものもある。

参考文献

『ドイツの自然・森の幼稚園―就学前教育における正規の幼稚園の代替物』 ペーター・ヘフナー 佐藤竺(訳) 公人社


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