森の幼稚園17

出典: Jinkawiki

目次

森の幼稚園

森の幼稚園とは、正規の幼稚園の紋きり型の教育への代替物である。元来、最初の森の幼稚園が前世紀の50年代に創設されたデンマークで生まれた。ドイツでは、最初の森の幼稚園は、1993年にフレンスブルクに設立された。その後、このような特別な教育のための新しい建設の波が続いた。今現在ドイツには約400の森の幼稚園があり、それらは親たちばかりではなく一般大衆の間でも一貫して人気が高まっている。ただ、すべての自然・森の幼稚園が上部組織とつながりがあるわけでなく、そのうえ親切も続いているので、正確な数を述べるのは難しい。

森の幼稚園の歴史

ドイツではこのような施設は、90年代初め以降存在する。ただ単に親たちや教育学者たちばかりでなく、広く国民のあいだでもますます絶大な人気を博している。 起源は、1954年にデンマークでエラ・フラタウ夫人によって創られた。毎日彼女の子どもたちと一緒に出かけて森の中で遊び、自然観察を行った。その幼児たちのための幼稚園の場所が見つけられなかったので、家の周りの近くで、その後しだいに近所や友人の所で、こういった形で子どもの世話をすることに興味を持った。親たちが自発的に協力し、こうして歴史上最初の森の幼稚園が創立された。

ドイツにおける発展史

ドイツでは、二人の女性教育者が、最初のこのような施設を1993年にフレンスブルクに設立した。1991年4月に専門定期刊行物『遊びと学び』のなかの「扉も壁もない幼稚園」という表題の論文で、デンマークの森の幼稚園運動に注目した。デンマークの森の幼稚園をたびたび参観して、このような施設を設立する計画を固めた。

正規の幼稚園との相違点

幼稚園の固有の建物は存在しない。子どもたちは、新鮮な空気の戸外で「風と天気」の下で遊ぶ。これが幼児たちに季節の規則的な移り変わりを直接肌で感じさせる。保育時間も違っていて、ふつう夏期は4時間だが冬期は3時間である。さらに、森の幼稚園では、閉鎖的な部屋よりも運動・活動の場所ははるかに大きい。したがって、この年代の子どもたちが抱く生来の遊び・運動への衝動は、何ものにも邪魔されず発散できる。森は、踊り、走り、飛びはね、遊び、身を隠し、どろんこになり、その他いろいろなことに豊富な場所を提供する。 正規の幼稚園に比べ、経費がわずかですむ。建物、暖房、清掃、営繕、メンテナンスその他の費用が全くかからない。

良い点

機械化された世界では、子どもたちの人生において初体験は重要である。森の幼稚園は、その変化に富んだ多面性により、こういった「直接」体験のための豊かな機会と十分な場所とを提供する。現代においては、多くの子どもたちは自然と直接触れ合うことはない。だが、子どもたちは、自然の中での触合いによって、物づくりやそれによって感受性の最善な発達に役立てられる豊富な体験という理想的な機会を持つ。

森の幼稚園の形態

森の幼稚園には、原理上2つの異なった形態がある。一方は「純粋の」、他方は「融合的な」森の幼稚園である。これ以外には、森の計画、森の週間、森の日を実施する正規の幼稚園もどんどん増えている。

森の危機

森は、その多様性の全てに、利益ばかりではなく若干の危険な要素も秘めている。それゆえ、子どもたちの行動に対するしっかりした決まりを作っておく必要がある。教諭たちがそれを実行し、徹底して遵守することが重要である。

これからの幼稚園

未だ少数派であるが、今後は、ESD(持続可能な開発のための教育)を含めた環境教育という視点からも欠かせない保育という点で貴重な保育として価値を高める可能性が高い。


参考文献 ペーター・ヘフナー(2009)『ドイツの自然・森の幼稚園』公人社


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