検閲
出典: Jinkawiki
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検閲とは
検閲とは、検閲者の基準に照らして道徳的その他の理由で不愉快とし画像、思想、情報からなる文学的、芸術的、教育的な資料を除去、抑圧、あるいは流通を制限することをいう。
検閲の動機
検閲の動機は4つに区分できる。1つ目は、家庭の価値である。家庭や家庭に関連する習慣の変化が資料の内容に反映するため、検閲者は検閲したいと考える。2つ目は、政治的見解である。検閲者は政治に過激な変化を唱導すると考えられている資料を検閲したいと考える。3つ目は、宗教である。検閲者は政治的・社会的に正統でない思想を信仰への妨げになると考え、信仰に有害と思われる資料を検閲したいと考える。4つ目は、マイノリティの権利である。少数民族集団などは、自分たちの主張に反する資料の排除を求める。
検閲の歴史
江戸時代は出版が盛んに行われたため、江戸幕府は厳しい検閲を行うようになった。江戸初期は、江戸幕府や徳川家の批判が発禁の対象であった。しかし、時代の流れとともに検閲の内容も変わった。寛政の改革では、風俗を乱すものや贅沢な出版物も発禁された。また、天保の改革では、人情物や好色物が発禁された。大日本帝国憲法では、表現の自由が法律の範囲内とされていたため、実際は制約が加えられていた。連合国軍占領下においても、GHQによる検閲が行われる。検閲が規制されたのは、日本国憲法制定後である。
日本での検閲
日本で検閲は憲法第21条第2項で「検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない」と定められ、明確に禁止されている。但し、刑事施設、刑務所や拘置所においては例外が認められることとなった。
選択と検閲の違い
選択は多種多様なグループの関心や意見の均衡を図りつつ、理路整然と専門的に作成された選択方針や選択手続きに従って判断することである。一方で、検閲者は資料を排除する目的を探し、多様性を抑圧しようとする。選択と検閲を同じものとして捉えてはならない。
参考文献
ヘンリー・ライヒマン著(2002)「学校図書館の検閲と選択」日本図書館協会
suzu