母語
出典: Jinkawiki
母語
母語とは人間が幼少期から自然に習得する言語。もっとも得意な言語という意味で第一言語ともいうが厳密には多少違う。
●母語と第一言語
ある人がうまく使いこなせる言語がその人の母語であるとは限らない。 幼少期に複数の言語を身につけた場合、母語が複数になることもある。 そしてたいていそのうちの一つがもっとも得意な言語、つまり第一言語となる。 たいていの人はその人が受けた学校教育の時に受けた言語が第一言語となり完全なバイリンガリズムはきわめて稀である。
●日本語における役割
日本語においては母語と母国語というふたつの表現が見られる。 日本人と日本語を話すひとはほとんど一緒であるが、世界的に見た場合言語と国が一致するのは稀な部類である。 この場合、ある人物が幼少期より自然に使っている言語という意味で母語、出身国という意味で母国語という言葉が用いられることがある。
●問題
本来個人として捉えられるべき言語概念に、政治的な国家概念がまぎれているということがある。中国語や、韓国語、朝鮮語の使いわけにも政治的な概念がある。 またカナダのように多言語で成り立っている国では国勢調査などで母語についての質問をする際に「あなたが初めに覚えた言葉で今でもわかる言葉はなんですか」という質問もされている。このようなことから母語、母国語、第二外国語、さらに日本においては国語が混乱されて使用されている。
●国際母語デー
世界の約6000の言語のうち、半数近くが21世紀中に消失するおそれがあり、悲観的に見ると95%の言語が消失してしまう可能性さえある。各民族が長年の歴史の中で築き上げてきた文化とそれを支える言語とは、人間が持つ豊かな可能性の現れでありそれが消えることは人間の可能性を狭めることにほかならず、人間の本質を解明するための手掛かりをなくしてしまうことにもなってしまう。この状況に対して、1999年11月17日に、ユネスコ(国連教育科学文化機関)は2月21日を「国際母語の日」と制定し、母語の振興を通じて異なる民族・文化間の寛容と尊敬を確立することを、参加188カ国の全会一致で宣言しました。 日本での取り組みとして東京都豊島区池袋西口公園には、2005年にバングラデシュ人民共和国により寄贈された“ショヒド・ミナール”(国際母語の日を象徴するものとされているモニュメント)が設営された。日本には世界各地からのさまざまな国の人たちが生活しています。それらの人々の母語を守るための記念の日として「言葉の日」を祝う会を開催している。
●参考文献
新しい「言語事項」学習指導法の開発 編集者 国語教育実践理論の会 発行所 東京書籍株式会社
文芸研・新国語教育事典 著者 文芸教育研究協議会 発行者 藤原久雄 発行所 明治図書出版株式会社