民主主義

出典: Jinkawiki

 民主主義とは、あらゆる政治的行動や意図の正当化を訴える理念であり、また、それらを評価する基準として、政治体制や信条の差異を超えて、ほとんど普遍的通用性を獲得したものである。つまり、個人の意思を尊重した物事の決定・選択のことをいう。


目次

概念

 民主主義を表す英語のデモクラシーという語は、もともとギリシャ語のdemos(人民)とkratia(権力)という2つの語が結合したdemocratiaに由来する。したがって、民主主義のもっとも基本的な内容としては、人民多数の意志が政治を決定することをよしとする思想や、それを保障する政治制度あるいは政治運営の方式と要約できる。  この意味では、第二次世界大戦後の現代国家のほとんどは、成年男女に普通・平等選挙権を認めているから、資本主義国家であれ社会主義国家であれ、それらの国々を民主主義国家と呼ぶ。しかし、一口に民主主義といっても、その内容は単に普通選挙や国民の政治参加の保障にとどまらず、人権(自由・平等)保障の質の高さや内容の違い、民主的政治制度の考え方の差異などをめぐって多種多様に分かれ、しかも、そうした思想や政治運営の方式は歴史の進展、政治・経済・社会の変化に伴って次第にその内容を広げ、豊かにしてきた。


民主主義発展の歴史

 民主主義の原型は、古代ギリシャの都市国家の政治に求めることができる。そこでは、制度が政治の世界において決定的に重要な地位を占めるようになったのは、やはり、市民階級が専制的な絶対君主の政治を打倒して近代国家を形成した17、18世紀以降のことである。この時期に国民主権主義、基本的人権の尊重、法の支配、民主的政治制度の確立などの民主主義的思想・制度の原型が形成された。  その後、19世紀半ばになると民主主義の課題として、経済的不平等の是正、社会的弱者の救済という方向に重点を移していった。  第二次世界大戦後には、民主主義は1948年に第三回国連総会で採択された「世界人権宣言」に象徴されるものになった。この宣言では、政治・経済・社会体制やイデオロギーの違いを超えて、世界のほとんどの国々が自由権、参政権、社会権を内容とする人権保障のカタログを民主主義の基本原理として確認している。  民主主義のプラスの価値として自明化したのは、19世紀中を通して戦われた、それまでの政治の世界から排除されてきた民衆による権力参加、または権力奪取の激烈な運動と、その帰結である20世紀前半における各国での普通選挙制実現以後のことである。この過程で、民主主義という言葉は、最初はこのような民衆運動を否定する伝統的語法で用いられ、その中から次第に戦う民衆の自己表現へと転化していった。


現代の民主主義

 現代の民主主義は国際平和の確立を緊急の課題としている。今日、地球上には170カ国以上の主権国家が共在し相互に関係し合っている。そうだとすれば、各国がそれぞれに民主主義の現実に努力すべきことは言うまでもないが、それだけでは十分ではなく、国際的連帯と協力による国際平和の確立なしには、一国における民主主義の実現さえおぼつかない。「平和権」が新しい民主主義のカタログに加えられる必要がますます高まっているのが、現代の特徴である。


引用・参考文献

大津留 智恵子 2000 アメリカが語る民主主義 ミネルヴァ書房

下中 直人 2007 世界大百科事典27 平凡社

渡邊 靜夫 1994 日本大百科全書22 小学館

山岡 清二 1987 「日本型政治」の本質‐自民党支配の民主主義 TBSブリタニカ


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