民主化に関する五大改革指令
出典: Jinkawiki
民主化に関する五大改革指令
GHQが1945年10月11日に発した指令で、(1)婦人の解放、(2)労働組合結成の奨励、(3)学校教育の自由主義化、(4)秘密審問司法制度の禁止、(5)経済制度の民主主義化の五項目からなっていた。
これは、軍国主義の基盤をなしてきた社会構造とそれを支えた経済体制を根本的に改造し、その復活を阻止することを目指すものであった。
《影響》
この指令は、内容的には戦前から要求されていた事柄に合致していたため、GHQの改革の急進性を各方面に印象付けたといえる。この指令の後に再建・組織される日本共産党や日本社会党などの左派勢力は、これを支持して運動していくほかはなく、占領軍と協調して戦後改革を促進するという政治路線をとることを余儀なくさせた。また、財界・産業界・他主層も、まだ敗戦と占領の衝撃から立ち直れない間に財閥解体・農地改革・労働組合結成の承認などを求められ、それらに従順に従うしかなかったのだ。こうして数十年にわたって日本の労働運動や社会運動が求め続けた民主的改革は、戦前のような反対を受けることなく一挙に現実となった。
この改革は、戦前日本の膨張主義的な経済構造を抜本的に改造し、国内住民の需要に応ずることを基本とするものに転換することを目指した。
GHQは、戦時中の爆撃などの被害を修復する意図のないことを宣言したが、平和的経済活動の再開は奨励した。同時に国際貿易と金融に統制を加え、戦前になされた中国及びアジア諸地域との貿易を禁止した。そのため、これらの地域から食料や原料を輸入して、向上製品を輸出するという貿易構造は中断され、貿易相手国は当分アメリカ一国に限定された。また軍事産業設備を賠償にあてるという名目で、多くの重工業設備が操業中止や撤去の指定を受け、平和産業の復興にも大きな制約が課せられた。
参考文献
佐々木隆璽著 『占領・復興期の日米関係』 山川出版社 2008年発行 中西輝政著 『日本人としてこれだけは知っておきたいこと』 PHP新書 2006年発行