民族紛争の解決策

出典: Jinkawiki

民族紛争とは

一般には、民族が主体または攻撃対象となった紛争を一括した言葉。大別すれば、(1)複数の民族間の武力抗争(スリランカ、ルワンダなど)、(2)少数民族の政治化した運動(東ティモール、チベット、チェチェンなど)、(3)複数国家に分属させられた民族集団の自治・統合運動(クルド人、バスク人など)、(4)複数のエスニック・グループが混住していた地域から支配的集団が他集団を強制的に排除するような「民族浄化」など。冷戦終結後、地域紛争を根深い「民族紛争」としてとらえ、歴史の宿命のように描き出す傾向が強まった。それは、民族の差異が紛争の根本原因だとする考え方だ。しかし「民族紛争」と呼ばれる事例でも、民族間の差異そのものが武力紛争や原因だとはいえない場合も多い。例えばセルビアの旧共産党勢力が、自らの権力維持のために民族主義に乗り換え、膨張主義的な大セルビア主義を打ち出したことが、武力紛争の大きな原因となった。同時に、民主化と市場経済化の外圧に抵抗して、旧体制下の権力を維持する機能も持っているといわれる。体制の構造に起因した紛争が民族主義を燃え立たせ、その結果民族間の殺し合いの様相を帯びるようになる場合も多い。

  • エスニック・グループ(ethnic group)・民族 言語・信仰・歴史などで文化的な絆で一体感を確認しようとする集団で、外見で人類を分類する人種観念とは異なる。
  • 民族浄化(ethnic cleansing) 複数のエスニック・グループの混在地域において、支配的なグループに対して行う迫害、追放、殺害行為。
  • エスノセントリズム(ethnocentrism) 自民族中心の主義のこと。
  • アファーマティブアクション 社会的構造的差別のよって不利益を被っている集団に一転範囲内で特別な機会を提供し、実質的機会均等を実現するための措置。クォーター制もその一つ。

民族紛争の解決策

  • 基本的人権の尊重
  • 法の支配の確立
  • 国際機関や周辺諸国活動の活発化
  • 予防外交
  • 民主主義(ナショナリズム)の健全化、抑制
  • 信頼醸成措置(CBM)の構築により国家間の不安と懸念の解消

多民族共存のためのキーワード

① 多民族主義(multiculturalism) カナダやオーストラリアで国是として提唱されている概念。国内の各民族集団で言語的・文化的権利を保障しようとしている。両国とも先住民の人権擁護が大きな課題。

② 相違への権利 フランスで発達。周辺地域や移民集団の言語や文化に対して一定の配慮がなされている。

③ サラダボウル(salad bowl) 米国ではかつて「人種のるつぼ(melting pot)」という考え方が協調され、ヨーロッパ系白人中心社会への同化が強調された。近年は人種・民族集団の文化的多様性を肯定するこの表現が好んで使用される。

== 参考文献 == 

http://kotobank.jp/word/%E6%B0%91%E6%97%8F%E7%B4%9B%E4%BA%89

政治・経済資料2012 東京法令出版


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