気候変動に関する政府間パネル(IPCC)
出典: Jinkawiki
「気候変動に関する政府間パネル(IPCC: Intergovernmental Panel on Climate Change)」は、人為起源による気候変化、影響、適応及び緩和方策に関し、科学的、技術的、社会経済学的な見地から包括的な評価を行い、各国政府にアドバイスとカウンセルを提供することを目的として、1988 年に世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)により設立された政府間機構である。 IPCC は、議長、副議長、三つの作業部会及び温室効果ガス目録に関するタスクフォースにより構成される。それぞれの任務は以下の通りである。
第1 作業部会: 気候システム及び気候変化の自然科学的根拠についての評価
第2 作業部会: 気候変化に対する社会経済及び自然システムの脆弱性、気候変化がもたらす好影響・悪影響、並びに気候変化への適応のオプションについての評価
第3 作業部会: 温室効果ガスの排出削減など気候変化の緩和のオプションについての評価
温室効果ガス目録に関するタスクフォース:温室効果ガスの国別排出目録作成手法の策定、普及および改定
IPCCのビューロー(議長団)は、IPCC議長1名、IPCC副議長3名、各WG共同議長各2名、各WG副議長各6名、タスク・フォース共同議長2名の計30名で構成されており、常設事務局は、ジュネーブのWMO (the World Meteorological Organization:世界気象機構)本部内に、WMOとUNEP (the United Nations Environment Programme:国連環境計画 )の共同で設置されている。
I IPCCの特徴としては以下のことがあげられる。
(1) 政府間パネルとの名であるが、参加者は政府関係者に限られず、世界有数の科学者が参加している。
(2) 参加した科学者は新たな研究を行うのではなく、発表された研究を広く調査し、評価(assessment)を行う。
(3) 科学的知見を基にした政策立案者への助言を目的とし、政策の提案は行わない。
IPCCは、世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)のもと、1988年に設立され、その第一次報告書を1990年に発表した。世界中の自然科学及び社会科学の研究者達により作成された世界最新の研究成果は、その後採択される国連気候変動枠組条約(UNFCCC)、国連環境開発会議、締約国会議(COP)等において、政策決定者の判断材料としてその機能を果たしてきた。
UNFCCCは、気象研究、データ収集、観測の促進・協力を規定するとともに、補助機関として、「科学・技術上の助言に関する補助機関(SBSTA)」を設置している。SBSTAは、COPに必要な科学的・技術的な情報をIPCCに要請し、その結果をCOPに活用する。IPCCは独自に評価報告書を作成すると同時に、SBSTAの要請にもとづき、その都度、技術報告書や特別報告書を作成してきている。
IPCCは、各国・国際機関の政策決定者のみならず、国際政策という大きな枠組みの中でも、その成果を期待され、活用されている。
参考:
気象庁 http://www.data.kishou.go.jp/climate/cpdinfo/ipcc_tar/spm.htm
地球産業文化研究所 http://www.gispri.or.jp/kankyo/ipcc/ipccinfo.html
IPCC WG1国内支援事務局 http://www.jamstec.go.jp/ipccwg1/index.html