水俣病４

出典: Jinkawiki

水俣病は、工場などから、排出されたメチル水銀化合物を魚などの水産物の体内に蓄積され、それを食すことにより起きる中毒性の神経系の病である。またこの汚染された食物を妊娠中の母親が食べてしまうと、胎児にもメチル水銀中毒の症状が出てしまい、脳性小児麻痺に似た生症状を持ち障害を抱えてしまう胎児性水俣病がある。水俣病は1956年に熊本県の水俣湾周辺で初めてその発生が確認され、1965年には新潟県においても発生している。症状はしびれなどの手足の「感覚障害」、秩序だった手足の運動ができなくなる「運動失調」、目の見える範囲が狭くなる「求心性視野狭窄」、耳の聞こえにくくなる「聴覚障害」、身体を均衡に保つ働きに障害が出る「平衡機能障害」、言語がもつれる、またはっきりしない「言語障害」、手足の震えが出る「振戦」、眼球が滑らかに動かない「眼球運動障害」などの症状が挙げられる。この病の根本的な治療法は今のところ見つかっておらず、一時的な痛み止めによる「対症療法」や、リハビリによる「機能回復訓練療法」が主な治療として行われている。また、頭痛や疲れやすい、においや味がわかりにくいなどほかの病と区別のつきにくい自覚症状が見受けられる場合もある。この環境汚染により引き起こされた健康被害である水俣病と自然環境の破壊による被害の大きさや、影響の深刻さにおいて、人類の歴史においても類を見ない公害として扱われている。

参考文献

原田正純　（1972）　『水俣病』　岩波書店

原田正純　（1985）　『水俣病は終わってない』　岩波書店