水資源問題
出典: Jinkawiki
温暖化による気候変動、世界人口の増加、発展途上国の経済成長等を要因として、安全な水へのアクセスが困難な世界人口の増加及びそれに付随する各国における様々な諸問題を指す。水供給への低アクセス率は上下水道が整備されていない開発途上国に多く見られ、WHOが定義した1km以内に一人一日20リットルの水を確保できる場所があるという目安において、2008年時点では9億人弱が安全な飲料水の確保ができていない。人が一日に必要とする水の量は最低で20~50リットルと言われているのに対し、日本の一般家庭では一人当たり一日約245リットルの水を使っており、その大半が風呂、トイレ、洗濯、掃除といった洗浄用として用いられている。他方で、飲料水として生命活動に必要な2~3リットルの水も満足に得ることができない国や地域が存在する。それは人口に比して保有する水資源量の大きなばらつき、充分な水道設備の不足、不適切な水の価格に依るところが大きい。地域別に見てみると、水資源賦存量(%):人口(%)はヨーロッパ8:13、アジア36:60、アフリカ11:13、オセアニア5:1、北及び中央アメリカ15:8、南アメリカ26:6となっており、水資源の所在と需要のある場所が全く異なっている。水の供給装置としての上水道のみならず、下水道の整備という水の衛生管理も大きな問題となっており、感染症の蔓延や環境汚染の防止、経済発展、そして安全な水の確保のためには、汚染水の再利用をもって衛生環境を改善しつつ水をうまく循環させることが肝要であるが、下水道整備は後回しにされる傾向にある。近年、水供給へのアクセス率、上下水道普及率は各国とも改善へと向かっているが、未だ都市部と農村部での落差が激しい。また食料1kgを生産するために必要な水の量が牛肉20700リットル、豚・鶏肉5900リットル、白米3600リットル、大豆2500リットル、小麦2000リットルというように、輸出入する食料や工業製品の生産にかかる水の量は膨大であるため、水資源の確保は先進諸国においても重要な課題である。水資源問題に対する国際的な取り組みとしては、国連持続可能な開発委員会(CSD、1993-)、国連水と衛生に関する諮問委員会(UNSGAB、2004-)、国際水文学計画(IHP)、世界水フォーラム、アジア・太平洋水サミット、アジア河川流域ネットワーク(NARBO、2004-)、海外水インフラPPP協議会(2010-)といった機関が情報提供・議論・政策提言等の活動を行っており、先進国、途上国ともに水の諸問題解決に取り組んでいる。
出典・参考
日本水フォーラム
国土交通省 国際的な水資源問題への対応
「水の問題」 池上彰と考える! ビジネスパーソンの「国際貢献入門」
H.N oki