法然上人絵伝
出典: Jinkawiki
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概要
浄土宗の開祖である法然上人の伝記絵。「法然上人行状絵図」ともいう。知恩院に伝わる絵巻は、法然の一生の行状を中心に、法然の身に起こった数々の奇瑞や法然に帰依した人々が極楽往生する様子などを四八巻二三五段に描いた大規模な作品。法然の教説を書状とともに編入するなど、鎮西派の関与が指摘されている。江戸時代に編纂された「勅修吉水円光大師御伝縁起」によれば、後伏見上皇の勅命により、叡山功徳院の舜昌が編纂し、絵は宮廷の絵所、詞は上皇以下の寄合書きで、徳治二年から始めて十年余りを費やしたとあり、真偽のほどは不明であるが、おそらく正和元年の法然百年忌記念事業の一環として企画されたものと考えられている。「勅修吉水円光大師御伝縁起」には副本を制作したという記事もあり、これを当麻寺奥院本にあてる説もあるが不明。知恩院本以前に制作された「法然上人伝法絵」は、善導寺本の奥書から、嘉禎三年に鎌倉でつくりはじめられたことが知られるが、原本はすでに失われ、鎌倉時代の伝写本の断簡が残されている。そのほか、「法然上人伝法絵」の影響を受けた増上寺本、琳阿本、特異な挿話を持つ弘願寺本などが残されている。また、親鸞の事績を付加した「拾遺古徳伝絵」は、親鸞の曾孫覚如によって、浄土真宗の立場から編纂された法然の伝記絵であるが、元亨三年に制作された常福寺本が全九巻の完本として現存するほか、三種の残欠本が知られている。
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参考文献
新修日本絵巻物全集14 法然上人伝法絵 編:塚本善隆 角川書店
日本中世史事典 編:阿部猛 佐藤和彦 朝倉書店