消費者問題と消費者保護
出典: Jinkawiki
消費者問題の発生と原因
- 消費者問題の発生
高度経済成長によって大量生産=大量消費の時代に入ると、消費者の生活をおびやかすさまざまな問題がおこってきた。欠陥商品や有害な食品・薬品などの問題、あるいは訪問販売などによる売買契約をめぐるトラブルが頻発し、消費者は不利益をこうむるだけでなく、生命や健康さえ危険にさらされるようになった。
- 消費者問題の原因
最大の原因と責任はもちろん企業側にある。利益本位の“売らんかな商法”と、商品の品質管理や安全性の確認などの怠り、大量宣伝=大量販売を進めてきたからである。一方消費者側にも、つぎつぎに売り出される商品について正しい知識や情報をもたず、企業側の一方的宣伝に乗せられやすく、また“衝動買い”などの安易な消費態度もある。クレジット=カードの普及によって、その多様から「カード破産」などもおこっている。 さらに、危険な薬品などを許可した厚生労働省など国の企業寄り行政に大きな責任がある。
消費者の保護
- 消費者保護立法
消費者の利益を守る法律としては、独占禁止法が制定されていたが、焼死者問題の多発と世論の高まりによって、1968年に消費者保護基本法がつくられた。 この法律は、企業に比べて弱い立場にある消費者が不利益を受けないよう、国と地方公共団体の果たすべき責務を定め、企業に対しては気がいの防止と、計量・規格・表示の適正化を図ることなどを義務付けている(2004年に改正され、消費者基本法となった)。 なお、悪質な訪問販売や通信販売、割賦販売などによる契約トラブルが増えたため、1976年に訪問販売法が制定され、一定期間内ならば、無条件で契約を解除できるクーリング=オフ制度が定められた。
- 企業主権から消費者主権へ
アメリカでは、1920年から消費者運動が始まっていたが、わが国では、60年代になってようやく高まりを見せ始めた。生活協同組合運動や商品テスト、欠陥商品や不当な値上げなどに対する抗議や告発など、具体的な活動をとおして消費者の権利を守ろうとする運動である。それは政治上の国民主権と同じように、経済社会における生産と消費のバランスを最終的に決定する権限を、企業から消費者の手に取り戻す「消費者主権」確立への運動である。
参考文献
- 消費者問題 多田吉三
- 現代日本の消費者問題 小谷正守、保田芳昭 編著