温暖化ガス排出量の計算方法
出典: Jinkawiki
温室効果ガスの排出量は、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)という国連機関が定めたガイドラインに沿って、業種や燃料などの排出源に係数をかけて算定される。基本的には各国の自己申告制で、集計されたデータは国連のUNFCCC(気候変動枠組条約)事務局に報告される。
日本の場合は、平成9年に京都で開催された気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)での京都議定書の採択を受け、地球温暖化法が平成10 年に制定・公布される。京都議定書が発効した平成17 年には温対法が改正され、温室効果ガスを相当程度多く排出する者に温室効果ガスの排出量を算定し、国に報告することを義務付け、国が報告された情報を集計・公表する「温室効果ガスの算定・報告・公表制度」が導入された。
日本での各温室効果ガスの排出量の算定は、主に以下の手順で行われている。 (1) 排出活動の抽出 (2) 活動ごとの排出量の算定 (3) 排出量の合計値の算定 (4) 排出量のCO2 換算値(算定排出量)の算定
(1) 排出活動の抽出 温室効果ガスごとに定めた当該温室効果ガスを排出する活動のうち、事業所において行われている、燃料の使用、他人から供給された電気の使用、他人から供給された熱の使用の3つの排出活動を抽出する。
(2)活動ごとの排出量の算定 抽出した活動ごとに、以下のような算定式に基づき算定する。 温室効果ガス排出量(t ガス)=活動量×排出係数(活動量当たりの排出量) ここで、活動量とは、温室効果ガスの排出量と相関のある排出活動の規模を表す指標で、活動により異なるが、生産量、使用量、焼却量等がこれに該当する。例えば、原油又は天然ガスの生産(原油の生産)をする場合、原油生産量が100 千klだとすると、メタンガス(CH4)は150t、CO2は4 3,200t排出される。
(3) 排出量の合計値の算定 温室効果ガスごとに、活動ごとに算定した排出量を合算する。 例えば、CH4 のガスについて活動ごとの排出量が、工場廃水の処理:10.2 tCH4、廃棄物の焼却:205 tCH4 である場合、CH4 の排出量は合算して215.2 tCH4 となる。
(4) 排出量のCO2 換算値(算定排出量)の算定 (3)で算定した排出量は、温室効果ガスごとの単位で表した数値となっているため、この排出量を次式によりCO2 に換算する。 温室効果ガス排出量(tCO2)=温室効果ガス排出量(t ガス)×地球温暖化係数 ここで、地球温暖化係数とは、温室効果ガスごとに地球温暖化をもたらす程度についてCO2との比を表したもので、各温室効果ガスごとに異なる。例えば、CH4 では地球温暖化係数は21 だが、これはCH4 を1 t 排出することはCO2 を21t 排出することと同じ効果があることを意味している。そのため(3)の例で示したCH4 排出量215.2 tCH4 は、次式のように4,500 tCO2 となる。CH4 排出量(tCO2) = 215.2(tCH4)×21 = 4,519.2(tCO2) ≒ 4,500(tCO2) 日本ではこのようCO2排出量を出している。
ちなみに、排出量の報告を義務づけられた事業者が、報告を行わなかった場合、または虚偽の報告を行った場合は、温対法により20 万円以下の過料が科せられるそうです。
{参考}環境省の温室効果ガス算定・報告制度 、温室効果ガス算定・報告マニュアル