特別支援教育(海外)

出典: Jinkawiki

ここでは特別支援教育の現状や基本的な考え方、取り組みなどについて国際比較を行う

イギリス

  • 障害児の定義は、イギリスでは、生涯という概念ではなく、教育学的概念である「特別な教育的ニーズ(SEN)」の概念を使用している。SENは連続的概念であり、障害があるかないかの2分法ではない。
  • 特別支援教育の基本的な考え方は、通常教育と明確に区分された「特別ニーズ教育」はない。障害という概念ではなく、SENという概念で、より幅の広いSENに応じた教育をしている。教育の目的や目標は、独自なものがあるわけではなく、通常の教育と同じである。
  • 取り組みとして、個別の教育支援計画では、早期の段階において、保護者を含めて、関連する専門家の協力を得て、判定書を地方教育局の責任において作成し、14歳以降に、「個別の移行支援計画」が作成される。特別支援コーディネーターについては、小中学校に特別な教育的ニーズコーディネーター(SENCO)がいて、学校のSENに関する教育方針を実行する役割を担っている。行政レベルの連携組織体制では、子どもへの支援サービスを中心に医療・福祉・教育などの関連機関メンバーが集まって会議をしている。

フランス

  • 障害児の定義について、1975年の障害者基本法では定義をしていない。代わりにこの法では、県特殊教育委員会(CDES)が、就学措置や経済的援助措置など、何らかの措置を行う対象を障害者であるとしている。
  • 特別支援教育の基本的な考え方は、文部省では「適応と統合教育」と特殊教育部門の名称としている。また、厚生省系施設が特殊学校に相当する役割を果たしており、また、文部省系の学校に対する支援も行っており、障害種別の専門治療教育、医療、福祉が特殊教育に関わることは基本的前提となっている。
  • 取り組みとして、個別の教育支援計画については、各特殊学校や特殊学級で作成されている。また、通常学校に通う障害児を支援する厚生省系の「通常環境での特殊教育及び治療教育のサービス」(ESSAD)機関でも作成する。また、この計画は、定期的に見直しがなされる。特別支援コーディネーターについての取り組みは、フランスでは行っていない。行政レベルの連携組織体制では、県特殊教育委員会(CDES)が、障害の認定や、就学措置、経済的援助措置など措置の権限を持っている。この委員会のもとで、文部省系および厚生省系双方の各種特殊学校(施設)や統合学級などの特殊学級が機能している。また、厚生省系の「通常環境での特殊教育および治療教育のサービス」という援助チーム(一般 には厚生省系の医療-教育施設<特殊学校に相当する>に属する)による、通常学校(文部省系)内の通常学級、および統合学級、統合教育ユニッ トに在籍する障害児への援助があるが、これは、医療、福祉のサービスも 含むものである。また、厚生省系の医療-教育施設など(特殊学校相当) では、文部省による資格をもつ教師による教育が行われる。

アメリカ

  • 障害児の定義を、①自閉症、②盲ろう、③情緒障害、④聴覚障害、⑤精神遅滞、⑥重複障害、⑦整形外科的障害、⑧その他の健康障害、⑨特異的学習障害、⑩スピーチあるいは言語障害、⑪外傷性脳障害、⑫視覚障害のカテゴリーに分けて法的に定義している。
  • 特別支援教育の基本的な考え方として、①無償で適切な公教育の提供、②もっとも制約の少ない環境での教育の提供、③個別教育計画(IEP)にもとづく教育の計画、実施、評価、④様々な教育の場の連続体の保証を挙げている。
  • 個別の教育支援計画の取り組みとして、アメリカでは障害と認定を受けた子どもに対して、一定期間に個別教育計画を作成し、特別な教育を開始することが法的に義務づけられている。この法的な根拠をもつ個別教育計画をIEPと呼ばれ、IEPは手続きを踏んでIEP会議と呼ばれるもので教育行政側、学校、親の合意によって作成される。

参考文献 
国立特別支援教育総合研究所 
http://www.nise.go.jp/kenshuka/josa/sekai/hikaku/index.html
M*I


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