生徒指導

出典: Jinkawiki

生徒指導とは、本来、一人ひとりの生徒の個性の伸長を図りながら、同時に社会的な資質や能力・態度を育成し、さらに将来において社会的に自己実現が出来るような資質・態度を形成していくための指導・援助であり、個々の生徒の自己指導能力の育成を目指すものである。そして、それは学校がその教育目標を達成するためには欠くことの出来ない重要な機能の一つなのである。


目次

生徒指導の意義

生徒指導の意義は、青少年非行等の対策といった言わば消極的な面にだけあるのではなく、積極的に全ての生徒のそれぞれの人格のより良き発達を目指すとともに、学校生活が、生徒の一人ひとりにとっても、また学級や学年、さらに学校全体といった様々な集団にとっても、有意義にかつ興味深く、充実したものになるようにすることを目指すところにある。

①生徒指導は、個別的かつ発達的な教育を基礎とするものである。

②生徒指導は、一人ひとりの生徒の人格の価値を尊重し、個性の伸長を図りながら、同時に社会的な資質や行動を高めようとするも のである。

③生徒指導は、生徒の現在の生活に即しながら、具体的、実際的な活動として進められるべきである。

④生徒指導は、全ての生徒を対象とするものである。

⑤生徒指導は、統合的な活動である。


生徒指導の課題

現在の児童生徒の特質として、人間関係の希薄さや生活経験の不足、将来展望の欠如などが見られる。これらは児童生徒をとりまく社会や家庭環境の影響が大きいとみられるが、学校教育においてもまた、学力に偏った評価や管理的・強制的・指示的な指導などによって調和のとれた人間形成をゆがめているという指摘もある。 学校教育は知的な側面の発達とともに、社会的情緒的な側面などにおける発達上の課題の達成を助けるものでなければならない。それらの課題を達成するために,全教職員が一体となって、いきいきとした学校づくりを推進させ、よりいっそう積極的・能動的な生徒指導を展開することが重要である。 生徒指導上の課題と対応を整理すると、次の3点を挙げることができる。

①いじめや校内暴力などは、適切な人間関係構築技術の未熟さにその原因があると言われている。学校においては、これらの問題行動の対応に追われるだけでなく関係をよくするためのスキルの向上を図るための指導援助をする必要がある。

②生活体験の不足している児童生徒には、学校教育の中で意図的・計画的に支援していくことが求められる。その体験が技術や技能の習得だけでなく、よい習慣づくり・人間関係づくりにもつながっていくことが期待される。

③社会がますます複雑・多様化し、価値観も大きく様変わりしている。このことが児童生徒の長期にわたる努力や、将来を見据えた取り組みを困難にしている。学校教育には、児童生徒の自己実現のための支援が今まで以上に求められる。


学級経営における指導上の留意点

(1)学級担任の受容と要求

学級担任は、学級の子供に対して、母親が無条件にわが子を慈しむような受容的側面と、父親が厳しく筋を通すような要求的側面の両方をあわせもつことが必要である。受容のない要求は反発を引き起こすだけで教育的指導が機能しない。また、受容するだけで要求がなければ教育として成立しない。

(2)学級経営の夢と方針の確立

学級開きの当日、学級担任は受けもった子供たちに対して、こんな子供に成長してほしい、こんな学級に作り上げていきたいと情熱を込めて自分の夢を語る。そして、この夢を実現するために日々の実践を重ねていくのである。なお、個々の実践に当たっては、学校生活の流れに即した学級経営を計画的に展開するよう努めなければならない。

(3)担任の励まし・仲間相互の認め合い・学級集団の励まし合い

担任は児童生徒に自信を与え、やる気を起こさせる目的や展望をもって励ましていく。よい行動やよい点を具体的にほめ、細かな進歩でも見落とさずに認めていくことが大切であり、そのために,担任は児童生徒に対して愛情をもち、常に心配りをしていることが必要である。また、子供にとって友達に認められることは大変な励みになる。相互に認め合うような学級の雰囲気づくりに努め、積極的に子供をつないでいくことが重要である。まず担任が認める。その姿勢をみて子供たちが気付き仲間を認めるようになる。そのように仕向けていくのが学級づくりであり、この充実により生じる学級集団からの承認は、子供の強い励みになる。

(4)子供を伸ばすほめ方・育てるしかり方

上手にほめたり、しかったりしようと思えば、まず子供を受容し、子供から信頼されていることが必要である。技術的な問題はそれが解決された後にくる。日常の基本的生活習慣についての指導は、「しかるよりほめよ」を原則とする。望ましい言動については、その都度繰り返しほめる。最初から高い目標を掲げないで、小さな言動の一つ一つを評価してほめる。こうして望ましい言動の頻度が上昇していくのである。「しかるよりほめろ」といっても、実際にはしからなければならない場面もある。その際には、次のような点に留意する。

①悪い行動をした直後にしかる。②人格でなく、行為をしかる。③見せしめ的なしかり方をしない。④しかった理由が理解できるよう冷静に説明する。⑤しかった後の指導を適切に行う。


参考文献

文部省「生徒指導の手引き(改訂版)」より

http://www.ypec.ed.jp/syonin/7.seitoshidou.pdf#search='生徒指導'

http://fish.miracle.ne.jp/adaken/link/seitosido.htm


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