生物多様性

出典: Jinkawiki

 「生物多様性条約」では、生物多様性について、「『生物の多様性』とは、すべての生物(陸上生態系、海洋その他の水界生態系、これらが複合した生態系その他生息または生育の場のいかんを問わない)の間の変異性をいうものとし、種内の多様性および生態系の多様性を含む」と定義している。


生物多様性の減少

生物の多様性の減少の直接的原因は、生殖地の破壊または改変、野生種の乱獲、外来種の移入、種の均質化、汚染などによる悪化、地球環境の改変などがあげられる。この他に人口増加に伴う土地利用の変化や漁業、農業、林業などにおける自然資源基盤の持続可能な利用や病気の蔓延といったものも生物多様性に悪影響をもたらす。

漁業  直接的影響…有害な漁法による生息地の破壊、標的種や混獲種の乱獲、外来種の導入。

 間接的影響…排水放流、栄養塩類過剰、化学的負荷(養殖)、騒音になどよる海洋生態系と淡水生態系の汚染。

農業と植林業  直接的影響…自然の生態系から農地や森林への転換、生息地の断片化、外来種の導入。

    間接的影響…農業用化学品の流出による生態系の汚染、単一栽培の利用による遺伝的均質化浸食、土砂堆積など。

林業(自然林のみ)  直接的影響…森林皆伐とインフラ建設による生息地の減少または断片化。

      間接的影響…林業生態系の排水による汚染と騒音による被害、浸食とそれに付随する影響


生物多様性を保全・保護するための政策

 生物多様性の減少は社会経済に影響し、生活の豊かさを減少させ、将来世代の選択肢を狭め、現在および将来の経済生産性と社会の安定を脅かす。そのため、現在さまざまな政策が行われている。生物多様性に悪影響をもたらす要因を取り除くことが保全の際に大切になる。しかし、生物多様性をめぐる不確実性とその維持や減少を助長する複雑な相互関係があるために、一般的には政策手段のパッケージや政策ミックスが必要になる。 個体数を調べ、将来的な絶滅の可能性を予測することができるので、絶滅の可能性が高い種や個体数の減少が著しい種は絶滅危険性に応じて「レッドデータブック」に記載して規制やアクセス制限などの保護策がとられたり、生物多様性を脅かす活動には、課徴金を課す政治的対策がとられたりする。 また、生物多様性に関する多くの問題は地球全体に関わるものであるので、国際協力が必要であり、多くの国際的な協定と条約が、生物多様性と種を保護するために結ばれている。生態系の健全な状態をモニタリングするための制度開発を保証するラムサール条約や世界遺産条約、生物多様性への脅威に対処する適切な政策処置を提案した生物多様性条約や砂漠化防止条約がある。 これらの条約間での協力が増え、相補性が重視されれば、必要な政策をするための確約を各国から取りつけることも増え、より生物多様性の保全ができるようになる。    



参考文献 OECD世界環境白書 中央経済社 平成14年8月1日初版発行  著 OECD環境局

第11章生物多様性

地球環境の教科書10講 東京書籍 2005年4月15日第一刷発行  著 左巻健男・平山明彦・九里徳泰

7章生態系の危機


W.A


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