産業革命
出典: Jinkawiki
今までは人はモノを作るのに人力、畜力、水力などで動く道具が用いられていた。しかし、機械と蒸気機関がそれらにとってかわり、大量生産が可能になった。さらに工業都市が生まれ、農村社会から工業社会へと世の中が転換していった。これを産業革命という。農民と職人によってなりたっていた社会が、約一世紀半という短い期間のあいだに、機械と帳簿を操る人々の社会へと変貌していった。その結果、産業を発展させる原動力となった農業が以前ほどの重要性をもたなくなる。
18世紀の農業革命によって合理的な農業経営が可能になったイギリスでは、余剰労働力が生まれるとともに国内市場も拡大した。植民地という海外市場の存在も有利に働いた。これを背景として17世紀以来ますます需要が高まっていた絹織物の分野から産業化が始まった。
18世紀半ばに紡績や機織の機械化が進み、ワットが改良した蒸気機関が動力として活用されるようになると生産力は著しく上昇し、国内のみならずフランスやインドなど国外にも市場を広げた。さらに原材料や製品の安定供給のため、道路や鉄道といった交通網が整備された。蒸気船もあらわれ、地球規模での物資の移動がいっそう速やかになり、世界は確実に一体化していった。
蒸気機関は直接的な意味でも石炭と鉄を大量に消費したが、間接的な意味でも鉄と石炭の需要を生み出した。代表が鉄道である。レールと車両を作るために最初は莫大な鉄が、のちには鉄鋼が必要となった。鉄道網が発達したおかげで、輸送費が大幅に引き下げられ、石炭や鉱石が産出地から遠く離れた場所でも安く入手できるようになった。鉄道に沿って新しい工場地帯が出現し、鉄道を使って遠く離れた市場まで製品を運ぶことも可能になった。
その一方で史上初の工業化は、巨大な資本を持つ産業資本家と、財産らしい財産を持たない工場労働者といった新たな社会階層を生み出した。加えて都市の生活環境の悪化や公害も招き、大きな社会問題となっていった。
19世紀になると、他の国でもイギリスにならって産業革命が始まった。 ベルギーとフランスでは、繊維産業を中心は1830年頃から工業化が進み、鉄道の営業キロ数も徐々に伸びていった。 連邦制をとったドイツの場合、国内市場が分裂していたため産業発展はやや遅れたが、19世紀後半には石炭や鉄鋼を中心に重工業が著しく発展した。 同じころのアメリカも、南北戦争という混乱を切り抜けて著しい工業化を経験し、それまで「世界の工場」と呼ばれたイギリスを、ドイツとアメリカ両国は凌駕した。
参考文献
ヨーロッパ史への扉 晃洋書房
世界の歴史 革命の時代 JMロバーツ 創元社