留学生10万人計画

出典: Jinkawiki

 1982年、中曽根康弘内閣が登場し、その翌年「21世紀への留学生政策に関する提言」(21世紀への留学生政策懇談会)が発表され、「教育」「友好」「国際協力」のための留学生の受入れを目的として21世紀初頭において約10万人の留学生の受け入れを総合的に推進するよう提言がなされた。10万人という数字は、当時アメリカが約31万人、フランスが約12万人、イギリスおよび西ドイツがそれぞれ約6万人という留学生を受け入れているという実態から、21世紀初頭にはフランス並みの留学生を受け入れることを想定したことによる。


実態と結果

 当時の留学生は国費留学生を中心として約1万人であった。しかし、この計画はもっぱら留学費用を私費でまかなう留学生を増やそうという趣旨であり、これに伴う予算措置はほとんどとられなかった。  また、実際に留学生数が10万人に達したのは2003年であり、当初の計画より3年も遅れての結果となった。1980年代には順調に伸びていた留学生数は1993年以降5万人程度のまま推移し、2000年以降 になって再び増え始め、ようやく2003年に109,508人と、10万人を超えたというのが実態である。


計画の概要

◆背景

(1)  留学生交流は、我が国と諸外国との相互理解の増進や教育、研究水準の向上、開発途上国の人材育成等に資するものであり、我が国にとって留学生政策は、文教政策及び対外政策上、重要な国策の一つである。

(2)  元留学生の中には、各国の発展や我が国との関係で貴重な役割を果たしている者も少なくない。

(3)  我が国の受入れている留学生の数が、昭和58年当時、他の先進諸国に比べ、際だって少ない。

◆基本的見通し

(1)  21世紀初頭において、10万人の学生(当時のフランス並み)を受け入れることを目途とする。

(2)  我が国の18才人口が1992年までを前期、減少傾向に転ずる1993年以降を後期とし、前期においては、受入れ態勢、基盤の整備に重点をおき、後期においては、その受入れ態勢、基盤の上に立った受入れ増を見込んでいる。

(3)  国費留学生と私費留学生の割合は、10万人受入れ時においては、フランスの状況等を勘案し、1:9程度とする。

(4)  国費留学生は、私費留学生受入れの牽引力としての役割を果たす。

○ 留学生受入れの拡充に対応する基本的方策

1. 大学等における受け入れ態勢の整備

(1) 教育指導

1 留学生に対する教育指導体制の充実

2 留学生の学習に配慮したコース等の拡充

3 私費留学生統一試験の海外での実施(渡日前の入学者選考を可能にする) 等

(2) 留学相談と受入れ世話業務

1 現地における留学相談等のための体制の整備

2 日本国際教育協会の充実

3 大学等における事務組織の整備充実 等

2. 留学生のための日本語教育(国内外における日本語教育の推進)

3. 留学生のための宿舎の確保

〇留学生宿舎又は一般学生寮において、留学生全体の4割を収容することを目途にし、整備を図る。

1 大学の留学生宿舎及び一般学生寮の整備

2 民間等による留学生宿舎の整備 等

4. 民間活動等の推進

5. 帰国留学生に対する諸方策

(1) 帰国留学生の活動に対する支援の充実

(2) 帰国留学生に対する諸事業の充実

(参考)「21世紀への留学生政策に関する提言(昭和58年8月)」 「21世紀への留学生政策の展開について(昭和59年6月)」


・「留学生10万人計画」-http://www.iic.tuis.ac.jp/edoc/journal/ron/r13-2-4/r13-2-4b.html

・鈴木紳朗編「やさしい日本語指導 3 日本語教育の歴史と現状」(2009年)凡人社


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