発展途上国における非識字者と国際支援

出典: Jinkawiki

目次

非識字者とは

日常生活で必要な 「読み・書き・計算」ができる能力のことを「識字」と言い、対し「読めない・書けない・計算できない」人のことを「非識字者」と呼ぶ。

識字できない理由

1)学校へ通うべき年齢で教育を受けることができない

国によって教育予算が少なく、授業料が無料ではない国が多くあります。貧困家庭の子どもたちや孤児は、学費を払えず、学用品を買うお金がなかったり、家計を助けるために働かなくてはならないなどの理由から、学校に通うことができない傾向にあります。また、学校の教育の質が低いため「学校に通わせる意味がない」と親が考え、通わせないケースもある。

2)近くに学校がないから

2000年以降、14の国で小学校の授業料が無料化され、生徒数が増えました。しかし、増えた生徒数に勉強を教えられるだけの学校がない。交通手段が発達していない地域で、もっとも近い学校が何十キロも離れていたり、雨季に道路が冠水したり、通学そのものが困難な状況も多々ある。

3)「女の子は学校に通う必要がない」と言われたから

途上国では、男の子の教育にお金を使う傾向があり、女の子は学校へ通えたとしても学校で性的嫌がらせを受けたり、女性用トイレがなかったり、早すぎる結婚、女性教員が少ないなどの理由で学校へ通わなくなってしまうことが多々ある。そのため、世界の非識字者の3分の2が女性だと言われている。

4)先生の人数が足りないから

教員の多くは一般的な公務員より安い賃金で働き、病欠中の賃金や年金などの保証もないため、教員の無断欠勤や人数の減少がおきています。

5)家で話す言葉と学校で教わる言葉が違う

少数民族が通う場所への学校建設を後回しにする国もあります。少数民族の言語での授業を認めなかったり、現地語を理解する教師が不足していることも多くある。家で話す言葉と学校で教わる言葉が違うため、勉強についていけない生徒は自然と学校から離れて行ってしまう。

文字が読めることによる利点

•母親が読み書きできると、5歳未満の乳幼児死亡率が低い。

•女性の識字率が高いと、女児の就学率も高い。

•成人識字率が高いと、小学校5年次まで在学する児童の割合も高い。

•識字率の高い国は、平均寿命が長く、一人あたりの収入や農業生産性が高い。

課題

現在、学校に通えない子供は約5800万人で読み書きができない大人は約7億8100万人にのぼり、世界の成人のおよそ6人に1人は読み書きができない、戦争や貧困女性であるという理由だけで教育を受けられないのが世界の現状である。これは当事者だけでなく、世界が抱える教育問題として早急に対処すべきものである。 特に、発展途上国にみられる、貧困による不の連鎖は非常に大きい問題である。教育を受けられないことで、読み書き・計算ができないまま育ってしまい、仕事に就けず、収入が少ない状態が続いてしまい、さらには本人や子どもが教育を受けられなくなる…という悪循環が続いくのである。この負の連鎖の根本的な問題は教育、つまり読み書き・計算が出来ないということに大きな原因があると考えられている。 この貧困のサイクルを断ち切るには、世界全体の不断の努力が不可欠である。 負の連鎖、悪循環を断ち切る有効な方法の一つとして「識字教育」があり、ユネスコでは「識字教育」を中心とした教育支援や地域活性支援を行っている。

国際支援

ユネスコによる活動内容

○教育の受け皿の作る 誰もが教育を受けられる機会を作る。

○読み書き計算を教える 年齢に関わらず、「学びたい」と希望している人たちにその国の先生が基礎教育や日々の生活に必要な保健・衛生のことなどを教える。

○安定した収入が得られるような技術を身に付ける 読み書き計算を学ぶ識字クラスのみならず、技術訓練も行う。技術を身につけるためには基礎学習が大切であることにも気付き、相乗効果が期待できる。例えば、野菜の栽培の仕方、養蜂、養魚、養鶏、民芸品作り、実用品生産、伝統音楽の習得など地域の人びとのニーズに基づいてその種類も多岐にわたる。

○収入を増やす・皆で助け合う お米が不作の時に安価でお米を借り受けられるようにするライスバンク(米銀行)など、多彩な取り組みで少ない収入を補い、地域の助け合いを通して収入を増やす努力が続けられている。


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