白い学校・黒い学校

出典: Jinkawiki

目次

概要

白い学校とは、(白人である)オランダ人の子どもが集中する学校のこと。教育熱心で比較的裕福な家庭の子どもが中心に通う学校のことである。 黒い学校とは、通う子どもたちの肌の色に関わらず、両親が低所得者でオランダ語をほとんど話さず、居住地でも他のオランダ人と接触することのない移民社会の子どもたちが全生徒数の90パーセント以上を占める学校のことである。

黒い学校形成の歴史

オランダへ出稼ぐ移民のほとんどは、入国当時、先住オランダ人に比べて収入の安定性もなければ貯蓄もない貧困層である。そのため、彼らは戦後に住宅改善策が最も遅れて放置されていた都心部などの特定の地域に集中して住み始めた。その範囲は時間と経過と共に大きくなり、これらの都市の特定地域に移民の集中が起こった。そして、先住のオランダ人はそこを逃れて、都市の周辺部や郊外に移り住むという分離現象(セグリゲーション)が起こっている。更に、<教育の自由>によって校区制がないために、先住のオランダ人は、例え移民の住んでいる地域に住んでいても、子どもは周辺部か市外の学校へ送るという学校選択のドーナッツ現象起きている。本来親の教育権を尊重するためのものであった<学校選択の自由>が先住オランダ人と移民の間の分離をますます進めてしまっている。

オランダの教育の自由

多くの黒い学校が都市部に生まれている現在、親は必ずしも教育方法や宗派を理由に学校を選んでいる訳ではない。自分の属する文化・社会グループの子どもたちはどの学校に行っているのか、それが学校選択の重要な要因になってしまっている。そうした文化や社会階層を要因とした分離は、オランダ本来の<教育の自由>に沿ったことであるのかが問い直されている。また、一部では移民自身の文化的主張が、オランダの制度の中でより極端な分離や差別を生んでいる。一定数の就学生徒数が予想される場合、協会であろうと財団であろうと学校を設立することができる。こういった法律のために、イスラム学校やヒンズー学校が事実、設立されている。無論、法律上の許可を得てそういった学校は設立されているため、学校は文部科学省が定めた教科を定められた時間数行う。その学校の教職員も国が認めた資格者でなければならないし、教授用語はオランダ語でなくてはならない。しかし、この他に、イスラム教やヒンズー教の教義を教えたり、移民の母国語を学ばせたりする自由は認められている。このような学校が本当の意味で国民教育の一貫として同化を促す教育をしているのか、という疑問を持つオランダ人は少なくないのが現状である。

参考文献

『オランダの教育-多様性が一人ひとりの子供を育てる』リヒテルズ直子 平凡社

独断と偏見による日仏蘭比較文化論 http://goldmember.seesaa.net/archives/20061106-1.html


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