砂漠化問題

出典: Jinkawiki

砂漠化とは「乾燥地域、半乾燥地域、乾燥半湿潤地域における気候上の変動や人間活動を含むさまざまな要素に起因する土地の劣化」と定義されてる。砂漠(極乾燥地域)は、条約の対象から除外されている。(砂漠化対処条約第1条「砂漠化の定義」より引用)

目次

砂漠化の原因

砂漠化の原因として気候的要因と人為的要因の二つが挙げられる。

  • 地球的規模での気候変動、干ばつ、乾燥化などが気候的要因として挙げられる。
  • 過放牧、森林減少、過耕作、薪炭材の過剰採集、不適切な水管理による塩類集積など乾燥地域の脆弱な生態系の中で、その許容限度を超えて行われる人間活動が人為的要因として挙げられる。こうした人為的な要因は、人口増加、市場経済の進展、貧困などの社会・経済的要因ために生じるとも考えられている。

砂漠化の影響

2005年時点で乾燥地域の10~20%は既に劣化しており、乾燥地域に住む約2,000万人~1億2千万人超の人々が砂漠化された地域に住んでいると推定される。乾燥地域は陸地の約41%を占めており、そこで暮らす人々は20億人以上とされ、その多くが開発途上国の人々である。砂漠化は、食糧の供給不安、水不足、貧困などの様々な原因になっている。 また多くのアフリカ諸国では、深刻な干ばつにしばしば見舞われ、食糧の生産基盤である土地の劣化に直面した住民が生存のために森林、水などの自然資源の過剰採取を行わざるを得ず、このことが更に土地の劣化を促進させるという悪循環に見舞われている。

砂漠化に関する条約

砂漠化対処条約(正式名称・United Nations Convention to Combat Desertification in Those Countries Experiencing Serious Drought and/or Desertification, Particularly in Africa 略称・UNCCD) 1994年6月にパリで採択され、1996年12月に発効された国際条約で、目的は深刻な干ばつ又は砂漠化に直面する国(特にアフリカの国)や地域が砂漠化に対処するために行動計画を作成し及び実施することまた,そのような取組みを先進締約国が支援すること等について規定した条約である。本部はドイツのボンにあり人員は60名である。現在の締約国は195ヶ国と欧州連合(EU)である。日本は1996年12月10日に条約発効した。

日本による砂漠化対策

  • 日本政府の取り組み
    • 国際機関への出資・拠出 -砂漠化対処条約事務局や多国間環境条約体等などのその他の条約体に対する出資や拠出など
    • 二国間援助 -砂漠化に関する調査・研究、森林保全・植林、水資源保護、農業開発、能力開発・教育等の分野への技術協力など
    • NGO活動 -NGO活動に対して地球環境基金、草の根無償資金などでの資金援助など
  • 具体例(砂漠化及び土地荒廃の防止に関する調査報告書より引用)
    • 青年海外協力隊派遣:「緑の推進協力プロジェクト」で隊員が派遣されている。このプロジェクトはこれまでセネガル(1986~)、ニジェール(1990~)、タンザニア(1986~)で実施されてきており、植林、森林経営、果樹・野菜栽培、造園、測量、農業土木など多岐にわたる協力を行ってきた。
    • 無償資金協力:関連する内容の事業としては苗木育成場整備、村落給水整備、農村開発、旱魃被害援助等で多く行われていて、対象国もセネガル(267.93 億円)、マリ(88.34 億円)、ニジェール(161.35 億円)、チャド(11.21 億円)、モーリタニア(99.78 億円)、ブルキナファソ(94.81億円)等、ほとんどの砂漠化地域に及んでいる。

参考・引用

(S.T)


  人間科学大事典

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