砂漠化3

出典: Jinkawiki

目次

砂漠と砂漠化

植物がまばらにしかはえていない高山や極地は広い意味の砂漠で、「高山砂漠」あるいは「極地砂漠」と呼ぶことができる。では、狭い意味の砂漠とは、どのような場所をさすのであろうか。

植物がはえていないのは同じで、しかし、年間の降水雨量が200ミリ以下で乾燥しているという条件付きとなる。東京の平均年降水量はおおよそ1400ミリなので、非常に雨の少ない場所をさしている。地球の全陸地の約25パーセントはこのような砂漠地帯によって占められている。「砂漠」という用語には、砂の砂漠だけではなく、砂が飛び去ったあとに小さい石や岩石だけが残っている「れき砂漠」も含む。なので、地球全体でみれば砂砂漠の面積は想像しているよりずっと少ないのである。

次に、これまで述べた砂漠とは違う、砂漠化の問題をあげる。砂漠化の問題は1900年代のはじめ、アフリカのサハラ砂漠の南部地帯を探検した学者によって報告されたのがはじまりである。その定義は、「土地のもつ生物生産力の減退、あるいは破壊であり、最後には砂漠のような状態になる。放牧地では牧草がとれなくなり、乾燥地の農業は失敗し、水を引いて作物を栽培する灌漑農地には塩分が地表面に蓄積して放棄される現象」となっている。

砂漠化の原因

砂漠化のきっかけは地域に特有な人間活動と関係している。したがって、砂漠化の様子も違ってくる。しかし、それでも乾燥地と半乾燥地のおおよそ80パーセントは家畜の放牧地であり、家畜に頭数の増加家畜の管理方法のまずさに関係する砂漠化の割合が大きいのである。

家畜が増えすぎれば、エサとなる草が不足するのは当然で、しかし、家畜に食われる野草類は家畜とともに進化してきた長い歴史があるため、食われても食われても新しい葉を再生させる性質がある。しかし、雨の多い年は草の再生がよいものの、干ばつの年は家畜の頭数とは無関係に草の再生力は弱まる。乾燥地や半乾燥地では一年間に降る年によって著しく変化するという特徴があるので、家畜が増えても、草の生産量は年ごとに変動を繰り返しながら、徐々に低下していく傾向がある。つまり、砂漠化を防止するためには、干ばつの年でも問題なく乗り切れる頭数の範囲内で家畜を飼育しなければならないのである。

緑を増やす方法

砂漠化した場所には、量の多少はともかく昔は緑があったといえる。したがって、人間活動をやめることができるのなら、よほどの乾燥地でない限り、植物が自然に定着するものである。しかし、この方法では長い時間を要し、住んでいる人々の生活が成り立たないという欠点がある。

そこで、積極的に人間に役立つ木を植林したり、家畜のいいエサととなる牧草をまいて、植生を回復させる試みがなされる。そしてまたこの場合も、膨大な金銭と労力を必要とするだけではなく、意外な落とし穴がある。多くの植物・木を植林して砂漠の拡大を防止する作戦が展開されているが、そうして植林された植物・木は、元々はえていた草木とうまく共存できず問題になっているという点である。緑化も慎重に行う必要がある。

参考文献

『砂漠化する地球の診断』 根本正之 小峰書店 2001年


  人間科学大事典

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