磯焼け
出典: Jinkawiki
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磯焼けとは
磯焼けとは、浅い岩礁海底や転石海底の海藻群落(藻場)が著しく衰退し、その結果、有用な海藻そのものや、海藻群落に依存するアワビやサザエ、ウニ、イセエビなどの漁業生産が低下する現象。日本だけでなく、世界中から同様の現象、被害が報告されている。また、海藻群落が衰退した場所には、代わりにサンゴモという炭酸カルシウム(石灰)が多量に沈着した藻類が繁殖してしまう。このサンゴモは、敵である他の海藻が育たないよう、海藻類をブロックするような物質を分泌しているため、再度、海藻類が育つのは難しい。
発生の原因
一口に磯焼けと言っても、海域や海底地形、生物相などによってその様相は様々で、発生原因も多様である。必ずしも異常な現象というわけではなく、古くから存在した周期的あるいは不定期に起こる海況変動により生じる場合も多く知られている。黒潮の大蛇行やエルニーニョの発生などにより生じる磯焼けがその代表だ。これらはいずれも、水温が通常よりも高い状態が長く続くために、広範囲の大型海藻が枯死することにより発生する。また、何らかの原因でウニなどの植食動物が増えて、海藻を食い尽くしてしまうことにより、発生する磯焼けもある。さらに、生活排水や産業排水の流入による富栄養化や土木工事などによる土砂の流出など、人為的な原因によって発生することもある。
磯焼けの影響
磯焼けは藻場が衰退または、消失してしまう現象であるために、藻場に生息していたアワビ、サザエ、ウニ、イセエビなどがいなくなってしまい、これらの生物を対象としていた漁業に大きな打撃を与える。また、海藻群落は、貝や魚類の大切なすみかになっているだけでなく、窒素、リンなど多くの無機物を吸収して海水を浄化するなどの役割があると考えられているので、磯焼けによる藻場の消失の影響はとても大きい。
参考文献
『海の環境100の危機』 東京大学海洋研究所著 東京書籍株式会社 2006年
『Treasure Dive』 http://潜水士.com/%E6%B5%B7%E3%81%AE%E7%A0%82%E6%BC%A0%E5%8C%96%EF%BD%A4%E7%A3%AF%E7%84%BC%E3%81%91%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/
(sumireyakko)