社会主義

出典: Jinkawiki

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概要

  英語ではcapitalism。生産手段を私有る資本家が生産手段を持たない労働者の労働力を商品として買い取って商品生産を行う生産方式。この生産過程で、余剰価値が生み出され、資本家はこれを利潤として獲得する。私有財産制と契約自由の原則に基づいて、資本家の私的利潤獲得のために生産が行われるので、社会全体としての生産は無政府的性格を持つ。このような資本主義的生産様式の成立には、封建社会の解体過程で生ずる、身分的拘束から解放されかつ労働力を売るほかない自由な労働者群の存在と、資本としての貨幣や生産手段の蓄積とが前提条件となる。このような条件が形成される過程は、資本の原始的蓄積と呼ばれ、単純協業からマニュファクチュアへの移行過程であり、経済政策上は重商主義の段階に対応する。この過程は産業革命に終わり、産業資本が成立し、資本主義が確立した。それは18世紀後半の英国から西欧、北米に広がり、19世紀末に日本やロシアに及んだ。資本主義は私的利潤の自由かつ無限な追求のための自由競争をたてまえとし、機械・技術の改良や労働強化などにより利潤の増大を図り、生産力を飛躍的に発展させたが、他方では相対的過剰人口(失業)をもたらし、労使の対立を激化させた。無政府的な大量生産とそれに伴わない有効需要との開きは恐慌として発現し、弱小資本の没落、大資本の生産・流通支配を通して、資本の集積・集中が進み、大産業資本と金融資本の結合によって独占資本が形成された。一方、生産力増大による国内市場の狭隘化は、植民地・発展途上国の市場獲得のための国際競争を激化させ、19世紀末から資本主義は帝国主義の段階に入った。第一次大戦後は、マルクス主義的な理解であり、異説があることに留意する必要がある。矛盾を抱えながら、それを自らの外部へと先送りしながら自己運動する資本主義のダイナミズムの解明には一層広範かつ原理的な考察が待たれる。

社会主義

 社会的不平等の根源を私有財産制に求め、それを廃止ないし制限し、生産手段の社会的所有に立脚する社会を作ろうとする思想または運動、およびこの理想が実現された状態。また、広義の共産主義社会における低次の段階をいうこともある。古くはT・モアが思想的先駆者とされるが、実際の運動としては産業革命により労働者階級が発生してから発展した。初期の運動に影響を与えたのはオーエン、サン・シモン、フーリエらの思想で、これは空想的社会主義と呼ばれる。次いでマルクスとエンゲルスにより資本主義の分析に基づく理論が打ち出され、やがて科学的社会主義と呼ばれるようになり、この理論を実践する国際的な社会主義組織(第一インターナショナル)が結成された。その後社会運動は、主として議会を通して平和的に目標を実現しようとする社会民主主義と、革命によって社会革命を行おうとする共産主義の二つに大きく分かれて発展した。ロシア革命後、長い間ソビエト連邦が社会主義社会のモデルと考えられていたが、スターリン批判を経て、さらに1989年から1991年にかけて東欧社会主義諸国の崩壊、ドイツ統一、ソ連解体などが相次ぐ中で、社会主義の在り方が改めて問い直されている。

資本論

 資本主義社会の経済的運動法則を解明し、その生成・発展・没落の過程を考察したマルクスの主著。第2第3巻はマルクス死後、エンゲルスにより編集・刊行された。商品の価値の実態は抽象的人間労働であり、価値の大きさは社会的必要労働時間によって決まるという分析を起点として、剰余価値論を展開、資本主義社会は一方の極に富、他方の極に貧困を生みだすことを明らかにした。さらにこの社会が原始的蓄積過程を通じて作り出されたことを示した。次いで、剰余価値を生む資本がどのように流通し、どのような条件で再生産され、資本家と労働者の関係を拡大再生産していくかを究明した。さらに生産と流通を含む資本の総過程という統一的な観点から資本主義をとらえ、価値法則を基礎にしてそれが利潤や価格や地代等の現象形態にどのような道筋で転化していくかを跡づけた。社会主義に科学的な論拠を与えた著作であり、後世に巨大な影響を与えた。日本語完訳本は高畠素之が1924年に著したもののほか数種ある。

共産党

マルクス=レーニン主義を指導原理とし、労働者大衆を組織基盤とする前衛政党。名称は労働党などとするものもあるが、民主主義的中央集権制と鉄の規律を組織原則とし、階級闘争と革命を通じて資本主義社会を廃絶し、プロレタリアート独裁を通じて社会主義社会を建設、さらに最終目的である共産主義社会の実現を目指す。1847年結成の共産主義者同盟をはじめとし、以後1848年の第一インターナショナルをはじめとして国際共産主義運動を推進してきた。1990年代に入って各国共産党の解党・改称が相次ぎ、中心的存在であったソビエト連邦共産党も1991年解党した。

引用文献

百科事典マイペディア ブリタニカ国際大百科事典


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