社会調査

出典: Jinkawiki

目次

社会調査とは

社会調査とは、社会や社会集団における社会事象のデータを様々な手法を用いて収集し、分析する過程のことを言う。データとはつまり、数量化や記述化と言った目に見える形にすることである。そうすることで主観的な見方で語られる事柄を、客観的に見ることが可能になる。また、データ処理にも大きく二つの方法がある。それは、事例調査と統計調査という方法だ。事例調査とは比較的数の少ない事例を選び、様々な角度から深く調査を行うものだ。逆に統計調査とは、比較的数の多い事例を数量重視で大まかに調査するものだ。社会調査の目的にもいくつか種類があり、国力を図るための国勢調査、社会問題を把握し必要な福祉政策を行うための社会福祉調査、国民の意見を形にするための世論調査などがある。

社会福祉調査(家計調査)

社会福祉調査の起源は18世紀後半から19世紀ヨーロッパである。当時、資本主義経済に伴って社会問題が深刻化していた時期に行われたとされる。日本では、家計調査という社会福祉調査が行われた。何度か行われたがその中でも、1930年頃に行われた家計調査が有名。当時、日本で家計調査が行われた原因である社会問題は米騒動だ。これもまた、ヨーロッパのように資本主義が高度化したためのものだ。労働者が農村から都市に移動したことで、米の収穫高が低下し、結果米の値段が高騰した。具体的には内閣統計局によって、米価を決める基礎資料となる世帯ごとの家計費を調べるために、家計調査が行われた。調査対象は全国で2000世帯。主な調査事項は、「収入」、「支出」、「世帯員に関する事項」である。「世帯員に関する事項」にもいくつかあり、「世帯における地位」、「男女の区別」、「生年月日」、「配偶者の有無」、「職業」である。この調査によって得られた家計費をもとに米穀法というものが運用・改正された。

米穀法

米穀法とは一言でいうと、国が米を売買することで米の価格を一定に調整にするものだ。その時の政府の買い上げ・売買の基準を「最高米価」と「最低米価」という。この「最高米価」を決める資料が、家計調査によって調べられる家計費をもとに算出した「家計米価」によって決められた。「最低米価」とは、農家における米の生産量によって決められた。「最低米価」以上になれば、政府所有の米を売ることで、米価高騰を抑制する。逆に「最低米価」以下になれば、政府が買い上げを実行することで米価下落を防止する仕組みになっている。この政策は、高米価を求める地主と低米価を期待する資本家との利害調整のためであると同時に、国民の基本食糧である米穀の需給に対する国家統制の開始を意味するものだ。後に、農業恐慌が起こり、この法律は廃止された。そして、新たに米国統制法が誕生した。

参考文献

日本統計研究所(1959)『わが国統計調査の体系―家庭調査の発展―』日本統計研究所 荷見安(1937)『米穀政策論』日本評論社 林えいだい(1986)『筑豊米騒動記』亜紀書房


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