移民3

出典: Jinkawiki

人が移動する原因

最も根本的な人の移動の原因として国家間の、特に先進国と発展途上国間の「経済・人口の不均衡」の格差である。今日の資本を豊に持つ先進国と労働力過剰な発展途上国という国際的に二極化された状態は、かつての宗主国による植民地からの富の収奪が原因となり徐々に経済発展の妨げたことに基づいている。実際により豊かな国が世界の資本と商品の流れを独占しその結果さらに豊かになっている。加えて移動するといった決定は動悸から個人的のものではなく貧しいコミュニティから多くの移民が家族生き残り戦略の中において役割を果たすためのものである。よって今世紀の国際的人の流れは偶発的なものではなく豊かな国(先進国)による意図的に始められたものである。


職業訓練と昇進をめぐる差別

移民労働者は採用されてもその仕事場において差別が存在する。移民は現地人と比較すると教育訓練を受ける機会が極めて少なく、そのため昇進機会いも影響を与えてしまう。このことはオートメーション化の進展に伴い移民の立場が弱まってしまうことを意味している。熟練度の高い労働者であっても昇進は困難であり、アメリカの雇用均等委員会が受理する国籍による差別に関する苦情は増加傾向にある。その結果から顕著なことは「3つの A」と呼ばれるアクセント(accent)、人種・民族的ルーツ(ancestry)、外見(appearance)が移民昇進ルートの障害となっている。


社会の多様性-同化と多文化主義

移民は差別を受ける潜在的な可能性を持つ。それはそもそもの出身国や受入コミュニティとの人種的や宗教、言語といった文化的相違に基づいている。それらは歴史的には民族的、地域的、文化的ルーツの産物であったが、時がたつにつれ、社会システムにおいては逸脱したものとなってしまい問題となってしまう。そこで今日では同化と多文化主義が取り上げられる。移民の同化とは移民がコミュニティ全体に分散することで徐々に吸収され、ついには同質的な受入コミュニティの中で区別がつかないようにすることである。主にフランスやドイツ、スイスにみられるが特にフランスで顕著なのがスカーフ問題である。一方、多文化主義とはエスニックなものを始めとする違いを許容し、ある場合には奨励さえされることもある。その結果、いくつもの集団が共存し交流を深め、多様ではあるが比較的安定社会が作り上げられる。主にアメリカやカナダ、オーストラリア、オランダにおいてみられる。

ILOリポート 世界の労働力移動1998 3 3 発行所 築地書簡 株式会社 著者 ピーター・ストーカー 訳 大石奈々 石井由香

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