第一次世界大戦4

出典: Jinkawiki

第一次世界大戦前夜

目次

ドイツの政策転換

英独墺の三帝同盟(1873)と独墺伊の三国同盟(1882)は、ビスマルクのフランス孤立化政策の成果であったが、新政をはじめたドイツ皇帝・ヴィルヘルム二世は、ロシアとの距離をおく政策をとる。その結果フランスの孤立が解消する形で、1891年、露仏同盟が成立した。また3B政策(ベルリン・ビザンチウム・バグダードを鉄道で結ぶ)に代表される対外政策の積極化は、英独関係を悪化させ、イギリスは「名誉ある孤立」政策を転換させる。イギリスは1902年には日英同盟も結び、英仏協商(1904)、英露協商(1907)を成立させた(三国協商)。1905年、ヴィルヘルム二世がモロッコのタンジールを訪問、フランスのモロッコ進出に反対する(第一次モロッコ事件)。モロッコは英仏協商で、フランスの優越権をイギリスが認めた場所。ドイツはこれに反対していた。翌年、調停のための会議(アルヘシラス会議)が開催されるも、フランスの優位性の再確認で終わる。1911年、ドイツ艦隊がアガディールに入港し、反乱鎮圧のために出兵していた仏軍と対峙する事件が起きた(第二次モロッコ事件・アガディール事件)。イギリスがフランスを支持したため、ドイツはコンゴの一部をフランスから割譲したにとどまり、フランスのモロッコ支配に風穴をあけることはできなかった。日露戦争の敗戦以来、ロシアは極東よりもバルカン半島への進出を重視する政策を採用したが、すでに3B政策を転換して進出していたドイツとの対立が強まった。

バルカン半島

1908年の青年トルコ党の革命で、トルコが立憲君主制になると、ブルガリアが独立宣言し、オーストリアがボスニア・ヘルツェゴビナを併合した(共にベルリン条約破棄)。ボスニア・ヘルツェゴビナはスラブ人が居住しており、同じスラブ人国家のセルビアはこれに反発、1912年にロシアの主導でバルカン同盟が結成される(反オーストリア・汎スラブ主義/加盟国はセルビア・モンテネグロ・ブルガリア・ギリシア。ロシアは黒幕)。トルコの衰退と民族主義、進出を狙うロシアの汎スラブ主義とオーストリアの汎ゲルマン主義の対立など、不安定要素の多いバルカン半島は「ヨーロッパの火薬庫」となっていた。

第一次世界大戦勃発

サラエボ事件

バルカン同盟は伊土戦争中のトルコと開戦した(第一次バルカン戦争・1912~1913)。敗れたトルコはイスタンブールを除くヨーロッパ領を失い、アルバニアの独立を許した。しかし旧トルコ領の配分をめぐり、ブルガリアと他のバルカン同盟の間で第二次バルカン戦争がはじまる。敗北したブルガリアは領土を大幅に削減された。1914年、セルビア人学生が、サラエボ訪問中のオーストリア皇太子夫妻を暗殺する。オーストリアはセルビアに宣戦布告し、すぐにドイツとロシアも開戦、同盟国と協商国が連鎖反応し、第一次世界大戦がはじまった。

第一次世界大戦

同盟国側はオーストリア、ドイツ、トルコ、ブルガリア、英仏露を主体とした連合(協商)国には、のちに日米や同盟国のイタリアなど、27か国が加わる。仏軍は中立国ベルギーを通り、フランス東部へ展開を図るが、マルヌの戦いで仏英軍が侵攻を阻止、膠着状態になる(西部戦線)。東部戦線では独軍が露軍を撃破(タンネンブルクの戦い)、その後はロシア領内で対峙した。ドイツの無制限潜水艦作戦により、中立国であったアメリカの乗客も犠牲となった。(ルシタニア号事件・サセックス号事件)。アメリカはこれを口実に対独宣戦するが(1917年)、実際は英仏の敗北による債務不履行を回避するためであった。同年、ロシア革命が勃発する。ロシアはブレスト・リトフスク条約で、対独墺の単独講和を行い、1918年、大戦から離脱した。

戦争の終結

アメリカの参戦により、連合国側に有利な戦況となった。ブルガリア、トルコ、オーストリアが降伏し(1918)、ドイツ国内でも厭戦機運が高まる。敗色濃厚の中、ドイツは休戦交渉を有利に進めるため、キール港の艦隊に出動命令を出す。しかしこれを拒否した水兵が反乱(キール軍港の反乱)、暴動は全国に波及した。社会民主党と独立社会民主党は臨時政府を樹立、共和国成立を宣言して帝政を廃止した。(ドイツ革命)。皇帝ヴィルヘルム二世はオランダに亡命し、1918年11月11日、臨時政府と連合国の間で休戦条約が調印され、第一次世界大戦は終了した。

参考文献

「完全制覇 この一冊で歴史に強くなる! 世界史] 川村亮 立風書房 (2002) 「第一次世界大戦への道」 山崎雅弘 六角堂出版 (2015) 


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