筋疾患

出典: Jinkawiki

筋疾患とは

筋肉と神経との関係において何らかの原因等で症状が発生する疾患である。大きく分けて次の3種類に分けられる。

進行性筋ジストロフィー(Duchenne型筋ジストロフィー)

[成因・頻度(有病率)]

歩き方がおかしい、転びやすいなどの症状で発症する。5000人に1人の割合で基本的に男児のみに発症し、重症である。

[好発年令]

2~5才頃

[主病状]

初期には腰帯筋、次第に大殿筋、肩甲帯筋へと筋力の低下の範囲を広げていく。なお、筋力低下は対称的に起きるという特徴を持つ。また、筋偽牲肥大に関しては腓腹筋や三角筋で特徴的に起こるが、これは筋組織の崩壊した後に脂肪組織が置き換わる事による仮性肥大である。病勢の進行と共に筋の萎縮に関節拘縮、アキレス腱の短縮なども加わり、経過として、12歳までには、起立・歩行不能となる。

[合併症]

心筋疾患が多く、心不全は死因の大きな原因のひとつである。

[経過]

ほとんどが、20歳までに死んでしまう。現在のところ、根本的治療法はない。

[予後]

機能訓練や関節拘縮予防のためのストレッチのほか、心不全・呼吸障害に対する対症療法が行われる。

進行性筋ジストロフィー(Becker型筋ジストロフィー)

Becker型筋ジストロフィーは軽症である。主に5歳以降に発症し、頻度は35000人に1人の割合である。主病状はDuchenne型の軽症型とみてよい。一般に予後はよいとされている。

先天性筋ジストロフィー(福山型先天性筋ジストロフィー)

[成因・頻度(有病率)]

常染色体劣性遺伝の疾患。異常な遺伝子によって産生された、フクチンとよばれる蛋白質によって起こると考えられている。

[好発年令]

発症時期は新生児期に見られ、男女で有病する。

[主病状]

歩行能力はほとんど獲得できない。また、腓腹筋や頬筋の仮性肥大が見られる。痙攣は約半数みられる。

[経過]

現在根本的な治療は不可能であり、筋力低下に対する対症療法しかない。

[合併症]

知的障害を合併する。

[予後]

呼吸器感染や心不全などによって、長くても20代で死亡する。

先天性ミオパチー

[成因・頻度(有病率)]

多くは常染色体劣性遺伝から発症。10万人に5、6人の割合。

[好発年令]

遺伝的であり出産時にわかる。

[主病状]

生下時、または乳児期早期から全身性の筋力低下、筋緊張低下を呈し、筋組織の病理学的検索で特徴的な所見を呈する疾患群のことである。この中には、ネマリンミオパチーというものがあり、これが一番多い症状である。

[経過]

最初にみられる症状は、頚定の遅れ。また、歩行開始は1歳6カ月より遅れる。歩き始めても、ずっと筋力低下は続き、顔の筋肉の力も弱いため、表情が豊かにでない。また、呼吸筋が特に強く侵されることがあり、肺炎、呼吸不全に注意が必要である。遺伝子が分かった病気もあるが、多くはまだ不明。そのため遺伝子治療も進まず、有効な薬もない。

[合併症]

骨格筋の「運動機能障害」や中には「中枢神経障害」も現れる場合がある。

[予後]

全身の筋肉の力をつけたり、呼吸筋を強くするリハビリテーションが重要である。 er

参考文献

NEW小児科学 南江堂 清野佳紀・小林邦彦・原田研介・桃井眞里子 1999年

http://www.jmda.or.jp/6/hyakka/kintop.html


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