脳死

出典: Jinkawiki

脳死とは、ヒトの脳幹を含めた脳すべての機能が不可逆的に(回復不可能な段階まで)廃絶した状態のことである。心臓停止などによる急性無酸素症、脳損傷による脳ヘルニアなどにより脳血流が停止し、脳組織が広範に破壊されると、自発呼吸が停止して死に至るが、近年、生命維持装置とくに人工呼吸器の発達により、人工的に生命を維持できるようになったことから脳死という概念が生まれた。一方、心臓移植などの成功から、よりよい状態における臓器の提供者として脳死患者が注目を受け、実際欧米では法的基準が確立されている国が多く、日本でも1997年(平成9)10月の臓器移植法の施行により、法的基準が確立され、脳死が人の死であることが認められた。そして、自分が脳死となったときに臓器を提供する意思のあることを示す臓器提供意思表示カード(ドナーカード)が、コンビニエンス・ストアなどで簡単に手に入るようになった。こうした状況のなか、99年2月には、臓器提供の意思を示す患者が脳死と判定され、心臓、肝臓などを提供、臓器移植法施行後、初の脳死による移植手術が行われた。 脳死と判定された後でも、心臓は動いている、発汗する、身長が伸びる、体重が増えるなど成長したという例がある。

現行法では脳死の位置づけは、臓器移植の場面で本人に提供意思がある場合、脳死とされている。2009年6月に衆議院で可決されたA案では脳死は「人の死」として、家族に判定拒否権を認めている。2009年7月、臓器移植の時のみ脳死判定をするという修正A案が衆議院に提出される。

目次

日本での脳死論

日本では、脳の機能は完全に解明されておらず脳死とされる状態においても脳としての機能が恒久的に消失した状態にあるということを完全に証明することが出来ないとし、また仮に脳機能が完全に消失したとしても、無機物にも魂が宿っているともされてきた日本の文化として、脳機能の消失だけ以って直接的に人間としての死でもあると断定的に結びつけることには無理があると主張された。しかし、実際には米国でも一般人は日本と同じように脳死という新しい観念を受け入れるのには相当の抵抗を示し、現在でも脳死状態でありながらちゃんと呼吸をしている患者の延命措置を停止には多くの遺族が日本と同じように反対する事例は多い。

脳死判定

診察・検査結果などから、明らかに脳死であろうと判断された状態を「臨床的脳死」や「脳死状態」と呼ぶ。しかし、臓器移植などの目的で脳死を法的に示す必要のある場合は手順に則った脳死判定が行われる。このような目的がないときに脳死判定をすることはできない。なぜなら、判定基準は呼吸器を外して自発呼吸を確認するなど患者を死亡させかねない項目を含んでいるからである。

長期脳死

従来、脳死になったら数日から一週間で心臓も止まると言われてきたが、1998年に米国の脳神経学者D・A・シュ-モンShewmonが統計的な大規模調査を行い、脳判定後、一週間以上、心臓鼓動していたことが明らかになった。


脳死についての一般の不安

一般の人に脳死の話をすると、脳死があること、脳死が人の死であることは理解してもらえることが多い。しかし、不安な点として第一に、移植のために臓器が欲しいばかりに、脳死ではないのに手抜き医療をされて脳死にされないかと懸命する人がいる。しかし、脳死に至るような患者を管理しているのは救急医であり、彼らは患者の救命に全力を尽くしている。不幸にして脳死に至った場合、脳死判定を行うわけであるが、この過程に移植医はいっさい関与できないシステムになっている。したがって、臓器欲しさのために手を抜いて脳死にすることはあり得ない。この点がなかなか理解されていないようである。また、脳死を診断されると、主治医(救急医)から臓器提供を強要されないかという不安を持つ人もいる。しかし、決してこのような事態は起こらないことを認識してもらう必要がある。その意味でも、今後、移植コ-ディネ-タ-の役割が非常に重要になってくる。



参考文献

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%84%B3%E6%AD%BB

http://100.yahoo.co.jp/detail/%E8%84%B3%E6%AD%BB/

http://www.lifestudies.org/jp/ishokuho.htm


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