自律訓練法
出典: Jinkawiki
自律訓練法とは大脳生理学者フォクトが催眠研究を基盤に創案し、精神医学者シュルツが開発したセルフコントロール法である。今日では「自律療法」とも呼ばれる。
緊張から弛緩へ、興奮から鎮静へ、交感神経系が優位な状態から副交感神経が優位な状態へ、心身全般を自律状態へと変換することにより、対象者に心理的変化(あるがままの受動的態度)、および生理的変化(筋弛緩、自律神経系の安定状態)をもたらす。標準練習や瞑想練習そのほかの諸技法により構成されるが、臨床場面ではもっとも基本的な技法である標準練習を用いることが多い。標準練習は、公式化された語句(言語公式)を反復暗唱しながら、次第に心身の弛緩状態が得られるよう工夫された7段階の練習から構成される。
自律訓練法を行う際には、受動的注意集中という注意の向け方が重要になる。初期の練習は、なるべく外的刺激を遮断した状態で行うことが望ましい。また練習時には身体への圧迫感など身体の緊張につながる要素はすべて排除しておく。練習時の基本的姿勢には、仰臥姿勢、安楽椅子姿勢、単純椅子姿勢がある。
不安や緊張に起因する心身症や不安障害その他の治療に用いられるが、最近ではストレス解消や疲労回復、リラクセーションの手段として、さらには学校教育の場における緊張緩和や持続力、集中力の養成などのも活用されるようになっている。
なお、リラクセーションとは、緊張を弛緩させること、つまりいわゆるストレスとは対極のある心身状態を自ら得ること、あるいはそのための技法を指す。弛緩訓練ともいう。身体的には過緊張になっている部分を弛緩させ、心理的に興奮を鎮静化させた状態を得ることである。通常様々な心理療法(とくに行動療法)の構成要素の一つとして広く用いられる。
参考文献
心理学検定 基本キーワード 実務教育出版