自由主義
出典: Jinkawiki
17、18世紀の市民革命期に登場した政治・経済・社会思想。絶対君主の抑圧から解放されることを求めて、近代市民階級が、人間は何ものにも拘束されずに自分の幸福と安全を確保するために自由に判断し行動できる存在となるべきことを主張した思想である。したがって自由主義は近代民主主義思想史全体を貫くもっとも基本的な思想原理といえる。たとえば現代国家の憲法を特徴づけている人権尊重の思想や民主的な政治制度の確立を求める思想などの源流は、すべてこの自由主義から発したものといえよう。
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日本の自由主義
日本では、明治維新を契機に福沢諭吉をはじめとする啓蒙(けいもう)思想家たちを通じて自由主義的な思想や制度が紹介、導入された。国会開設運動や自由民権運動などは、人権の尊重や民主的な政治制度の確立を目ざす試みであった。しかしドイツ(プロイセン)型の君権中心的な大日本帝国憲法が制定されて以後、自由主義は、大正デモクラシー期から昭和初期の短い時期を除き、ほとんどわが国では発展することなく、国家の個人に対する絶対的優位を説く国家主義(ステイティズム)やファシズムの前に圧倒されてしまった。そして第二次世界大戦後、日本国憲法の制定によって、ようやく日本においても自由主義的な思想や民主的な政治制度が確立されたのである。
今日の自由主義
今日では自由主義とは、単に政治的民主主義だけではなく、社会的平等の実現を求める社会的民主主義までもその内容としているものといえよう。この意味で、現在では、自由主義はかならずしも社会主義の対立概念ではなく、両者の思想はそれぞれに人間の自由と平等の実現を目ざすために相互に協力できる性格をもった思想としてとらえることができよう。
現代の課題
市民社会の原理となっていた自由主義は、同じく、ブルジョワ的な意味で用いられてきた民主主義が修正を迫られるように、その意味が問い直されていて、自由主義は死んだとさえいわれる。今日では、自由主義陣営とか自由主義国家といったことばからも判明するように、社会主義・共産主義・全体主義などに対立するものと考えられ、個人の自由を制限したり、否定したりするプロレタリア独裁に対抗する一方、国家や民族を至上とし、独裁制をとる形態とも対決するものになってきている。また、市民という語のもつ概念内容が変わってきたように、自由主義も、すべての人間の自由主義であり、人種差別などにも反対する。しかし、複雑化した世界のなかでは、個人の自由と社会や環境の調和、自由の制約をどのようにして行うかといった、多くの問題が存在していることは否定できない。
参考文献
http://100.yahoo.co.jp/detail/%E8%87%AA%E7%94%B1%E4%B8%BB%E7%BE%A9/