蝦夷2
出典: Jinkawiki
蝦夷(えみし)とは日本列島の東北地域に住む住民の呼称。他地域の日本人から異族視されてきた人々であり、歴史上に初めて蝦夷という言葉が記されたのは『日本書紀』である。 「えびす」と読むこともあるが、平安時代中期以降は「えぞ」と読むようになる。 もともと東北地域の人々を毛人と称していたが、中央政府の直接の支配に従わない人々のことを蝦夷と呼ぶようになった。初期は本州の北部から北海道にかけての地域は全て蝦夷の地域だったが、中央政権の直接の支配が本州の最北までに及び、その時点で北海道方面のみが蝦夷の世界となった。その限定された地域でアイヌ民族が形成されていった。
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蝦夷アイヌ説と蝦夷非アイヌ説
近代では蝦夷=アイヌ民族とされてきたが、昭和になって蝦夷非アイヌ説がとなえられるようになった。蝦夷がアイヌ民族とされるようになったのは江戸時代からで、新井白石・本居宣長などが中世、近世の蝦夷がアイヌを指すのだから古代の蝦夷もアイヌのことであろうということであった。『日本書紀』をはじめとする文献では蝦夷の風俗習慣が日本人と異なっていることが強調されている。 蝦夷の決定的な特徴は稲作を知らないことである。これは北海道地域に限ったことではなく日本列島の東北地方も稲作には不向きな地域であり、北海道の文化と相当な共通性を保ち続けてきた地域でもある。その他にも蝦夷=アイヌ民族とは言い難い説がいくつかあり、蝦夷アイヌ説と蝦夷非アイヌ説は未だにどちらが正しいか定まっていない。 蝦夷とは農耕が導入される以前の日本人という説が今のところ有力とされている。
参考文献
『古代の蝦夷』 工藤雅樹著 河出書房新社
『蝦夷』 高橋崇著 中公新書