裁判員制度2
出典: Jinkawiki
・裁判員法は、現在の刑事裁判の問題点を改善し、国民によりわかりやすい裁判の実現を目指すものとして期待され、平成21年5月21日以降に起訴された事件について開始されます。対象は20歳以上の日本国民で無作為に(くじで)選ばれます。
・裁判員として選任されるまでには、大きく分けて、①裁判員候補者として呼び出されるまで、②裁判当日、候補者の中から裁判員として選任されるまで、の2つのステップがあります。
さらに、裁判員候補者として呼び出されるまでも、前年の準備段階と当年の呼出状が来るまでの2段階に分かれます。
(前年) ○地裁は、次年に必要な裁判員候補者の人数を、市町村の選管に通知。
9月1日・・・・・
○市町村の選管は、裁判員候補者予定者名簿を地裁に送付。 10月15日・・・・
○地裁は、裁判員候補者名簿を調整。
11月末・・○地裁は、裁判員候補者に名簿に記載されたことを通知。調査票も送る。
(当年) ○地裁は、呼び出すべき裁判員候補者をくじで選任。
○地裁は、裁判員選任手続きの期日の6週間前までに裁判員候補者に呼出状を送達。
6週間前・・・・
○地裁は、裁判員候補者に質問票を送って、辞退事由の有無の確認や不公平な裁判をするおそれがないかの判断に必要な質問をする。
○裁判員候補者は、質問票を返送、または持参。
注)・地裁=地方裁判所 ・選管=選挙管理委員会
裁判員候補者に選ばれた旨の通知に、調査票と裁判員制度についての説明するパンフレットなどが同封されて送られてきます。 調査票は回答を記入して裁判所に返送することになっています。 調査票では以下の内容にあてはまらないか、聞かれます。
警察職員、自衛官等の裁判員法の定める就職禁止事由に該当するか
70歳以上、学生又は生徒、過去5年以内の裁判員、検挙審査員等経験者で、1年を通じて辞退を希望するか
重い疾病又は傷害があるため裁判員としての参加が困難で、かつ、1年を通じて辞退を希望するか
1年のうちの特定の時期(月)について、特に参加が困難となるため、その特定の時期については辞退を希望するか
裁判員に選ばれて質問や不安が生じたら毎年11月末から1月末の2カ月に限定されますがコールセンターに相談しましょう。
呼び出しを受けた裁判員候補者は、裁判員選任手続きの期限に出頭しなければなりません。正当な理由なく出頭しない時は裁判所が10万円以下の過料を言い渡すことができます。 正当な理由があれば不出頭も許させます。したがって、選任手続きの朝、急に具合が悪くなって裁判所に出頭できなくなった場合はやむを得ないといえます。ただし、この場合、仮病ではないかち疑われることもあり得ますから、医師の診察を受け、診断書を書いてもらっておく必要があるでしょう。
注)過料・・・行政上の制裁で、金銭を支払わされる。裁判所、市町村長が言い渡す。
以下の人達は裁判員になれません。
義務教育を終了してない人
禁錮以上の刑に処せられた人
心身の故障のため裁判員の職務の遂行に著しい支障がある人
警察官
裁判所の職員
裁判官、検察官、弁護士(それらであった人)
大学の法律学の教授、准教授
都道府県知事、市町村長、特別区長
国会議員、国務大臣
国の行政機関の幹部職員
禁錮以上の刑にあたる罪につき起訴され、その被告事件の終結に至らない人
逮捕または勾留されている人
被告人、その親族、その同居人
被害者、その親族、その同居人
証人、鑑定人
事件について告発をした人
事件について警察官として職務を行った人
裁判所が不公平な裁判をするおそれがあると認めた人
裁判員制度の対象となる事件は、「決定刑の重い重大犯罪」と決められています。
いくつか例をあげます。
強盗致傷罪・・・この罪は、裁判員制度で扱われる可能性が最も高い犯罪です。これは強盗犯人が強盗の機械に行った暴行・脅迫により、被害者に傷害を負わせた場合に成立する事件。
殺人罪・・・これは、被害の対象が人であること。対象が胎児だと堕胎罪になり、死体を損傷すれば死体損壊罪となります。そして行為者に殺意があり、殺害にふさわしい行為があって、その結果として死亡させた場合に成立する事件。
現住建造物放火罪・・・これは、放火行為によって、現に人が住居に使用し、または現に人がいる建造物・汽車・電車・艦船・鉱山の坑道を焼損した場合に成立する事件。
傷害致死罪・・・これは、行為者が暴行または傷害の意図で加害行為をし、その結果として加害者が死亡した場合に成立する事件。
通貨偽造罪・・・これは、行使目的で、通用する紙幣・貨幣・銀行券を、偽造または変造した場合に成立する事件。
裁判員裁判における裁判員の意見は裁判官と同じ重みを持ちます。評議で議論を尽くしても、意見の一致が得られない時は、多数決によって決めます。「被告人を有罪とする犯罪の証明があったか」という形で決をとり、「無罪だと思う人は手を挙げてください」という形ではありません。 有罪にするためには、過半数の意見が必要で、裁判員だけではなく、裁判官も1人以上の賛成が必要になります。そうでない限り無罪になります。すなわち、無罪の場合は、無罪の意見が過半数でなくてもいいし、裁判官か裁判員のどちらかだけの主張でもよいのです。
船山泰範・平野節子 「裁判員法」 ナツメ社 2008年
西野喜一 「裁判員制度の正体」 講談社 2007年
JIM